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夏の自堕落ミス

   ぐったりと倒れてくる王司を受け止めながら二人で息を整える。  たまに頬にキスをされて、返すように頬擦りをしてやれば王司はテンションが上がって調子に乗り出した。  俺も俺で別にヤってもいいんだが、どうもなにも暑さが気になってしょうがない。  温度を下げて風量も上げたのに汗が出る出る。  こんな事をヤっているからだろうか……いや、それでも前に王司の部屋でヤった時はここまでじゃなかった。  むしろ、暑かったが字的には“熱かった”の方があっていたし、汗だってダラダラにかいてない。  が、王司はこんな俺でも気にせず首元に顔を埋めてチクッと小さな痛みとともにリップ音を鳴らしながらもう一度ヤろうと動き出す。 ……いやいや、あっちぃ。  クラクラしそうになるのを耐えて、だけど王司から貰う気持ち良さに熱のこもった息を吐きながら密かに二度目の開始で、今度は静かに揺られ酔うだけ。  たまにはこんなプレイも良いみたいで最終的に王司は大の大満足。俺も満足しているが、暑さにはかなわな過ぎてベッドから出たいほど。  後処理をしようと王司は立ち上がり一旦、部屋から出て、戻って来たときにはいつも使うタオルを持ってきていた。  冷たいよ、なんて言いながら王司は俺の体についた自分の精液や王司の精液を取ってもらう時にその濡れたタオルが気持ち良くてしょうがないと感じる。 「汗も拭こうか、智志君」 「……つーか水風呂入りてぇ」 「ゆっくりしたら準備してあげるよ」  ちゅっ、とまた口付けしてきたところは耳たぶ。  白い液を吐き出したおかげか王司の笑顔はいつもより倍も輝いて見えてしかたがなかった。 「智志君、シーツちょっと汚れちゃったからあとで俺が洗おうか」 「おー……」 「大丈夫?智志君?」 「……」  俺も、王司自身も拭き終わったみたいで、大の字になってベッド上を独占する俺にお構いなくの王司は俺の腕に頭を置いてギュッとしがみ付きながらくっついてくる。 「……」 ――おかしい……こんなにも暑いのは、おかし過ぎる。 「王司……おまえ暑くないのか?」 「え?」  くっついてくる王司に暑いと思いながらも退ける力がなく、そのままにして聞いてみる。  天井から見た俺達は笑い者を通り越してドン引きな格好をしているのかもしれない。  全裸姿で俺にくっつく王司に、下着は脱がされ穿いていたジーンズの片方は脱げていて、Tシャツは胸まで捲られっぱなしで直されていなくて、まぁ俺も半裸みたいなものだ。  絶対に見たらみんながみんな、固まるな……。 「智志君?」  他の事を考えながら王司の答えを待っているとすぐに起き上って眉間にシワを寄せては表情から伝わる『大丈夫?』というオーラ。  まるで俺が“おかしい人”だというような空気になってて、ちょっと焦る。 「あ?」 「えっ、いや……智志君の、遊びの一種かと、思って……」  ぎこちなく喋る王司は俺を跨りながらエアコンのリモコンを手に取り俺に差し出してきた。 「……」 「智志君、よく見てみ?このリモコンに表示されている文字を」  さっきのセックスの影響もあるだろう息のし辛さは暑さでも影響している可能性がある。  渡されたリモコンに俺はダルくも腕を伸ばしながら受け取ってよく見ようと近付けた。すると、やっぱりおかしかった。 「……暖房」  20度の暖房設定になっていやがる。  

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