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気持ち告白
「……へ」
それは王司の中で時間が止まったかのような反応だった。
へ、って。
俺はお前に言ったよな?
楽しみにしとけって。それは、こういう意味で言ったつもりなんだぞ?
なのにお前は……。
「なんだ、嬉しくないのか?」
『俺はてっきり、』
ここまで言って、王司はよじ登るかのように立ち上がる。
「う、嬉しいに決まってる!智志君は全部の俺を受け止めてくれるから!」
「間近で大きな声を出すな!」
距離感も関係なしで興奮しているせいでもあるんだろうが、王司は叫んだ。
それにイラッとしながらも弱めな腹パンをかませば『智志君、弱いよ』と笑顔で抱き締めてくる。
「ここまで喜ばれてもなぁ……」
苦笑いをしつつも、俺は衣類を着ていない王司の背中に腕を回す。
ガタイも良いこいつが泣くとか、笑える話だな。
「王司、」
そんな気持ちも伝えた後で、昂る性に、俺も男だと頷ける。
「おうじ、座ってろ」
「んぁ、さとしくん……?」
耳元で囁くように話すとくすぐったいのか少し引っ込めた耳。それでも座るから、こいつだってわかっているはずだ。
ゆっくりゆっくりと座る王司を見ながら俺は着ていたTシャツを脱ぐ。
もちろん裾を握られてた手を離すのにはちょっと手間がかかったが、王司は途中で理解したのかすんなりと外れてよかったと思っている。
「さとしくん」
「うるせぇ」
ジッと見られてる視線の先は俺の胸。もっと言えば、乳首だろ。今度おっぱいプリンでも作ってやるか?
そんな菓子があったろ。それっぽい型も買って作れば何個でもしゃぶるように食うんじゃないか、こいつ。
「ほら、口開けてろ」
他の事を考えながら王司とヤる事をちゃんと準備をする。Tシャツの裾で隠れていた場所は、ベルトだ。今はそのTシャツも脱いでて、ちゃんと見えるベルトにジーンズのファスナー。
手にかければ、王司もぴくり、と反応する。
ここまでくれば俺ももう人の事は言えない。
勃ったモノを取り出して王司の口に無理矢理咥えさせる前に右手で持つチンコでピシッと顔を叩く。
目が潤むタイミングはだいたい一緒だな……。
スイッチが入った時と、目の前に出されたモノを含む時、それと痛さに堪えてる時だ。この三拍子が揃えば、もしくは一つでも当て嵌まれば、泣く面とは違う潤みを出す。
どっちも可愛いんだけど。
「さとしくんっ、はやくはやく……!」
「そんな欲張るなって」
空いてる手で王司の頬を撫でながら、口元にチンコを入れるかいれないか、と擦っていると我慢が出来なかったのか舌を出してきた。
その温かくて柔らかいのが亀頭に触れる事で俺自身もはやく突っ込みたくてしょうがなくなる。
「おーじ、てめぇの顔ドロドロになってんぞ」
「んーん、智志くんあんま苛めないでっ」
「苛めてるつもりはねぇ、よ」
ゆったりと喋る隙に、
「んぐぅッーー!」
無理矢理入れるのも、悪くない。カリッと少しだけ歯に当たるが、それも良い。
「ゔん、ンんっ……んッ」
「はぁ、ッ」
遠慮なく喉奥まで突っ込んだあと、またギリギリまで出して突っ込む。
俺ってばこれで似非セックスしてるわけだから、童貞を卒業した感覚に落ちるんだけど……まぁしばらくは童貞のままだしなぁ。
つーかもしかしたら一生、童貞のままだったりしてな……。それもアリなんだろうか……。でも王司の口んナカはすげぇ気持ち良いし、文句はまったくない。
「はッ……おまえ、上手くなってるような、気がっ」
なんとなく振る腰も止まらず、呆気なくイきそうになる。
あれ、俺って早漏だったっけ。
「はぁ、んっ……口んナカと、外、どっちがイイ?」
「ん゙んぁ、うっ、んンッ……!」
なにを言ってるのかわからない。が、手で俺の腰が引けないように押されているのはわかる。
つまり、口のナカで、ってことな……さすがに思い通りにはさせたくないな。
聞いといてあれだが、最初から王司が答えた方じゃない選択にしようとしていたから。
「じゃあ、外だな」
イきそうになる腰をさらに動かしていると王司は俺の言葉が耳に入ったのか希望していたものと違う答えに首を振りながら腕の力が強くなった。
立ってる俺と座って力を出す王司なんて決まってる。俺の方が今は強いんだ。
「あぁ、もう出るわ……んッ、」
「んぁ、あ、さとしく、ナカーー!」
出そうになったところで王司の髪の毛を引っ張りながら右手で数回扱いたあと、顔射。目にはかかっていなかったが、口端の傷にはかかったみたいだ。
しみるかどうかなんて王司次第だし、王司も王司でこのぐらいの痛みはもう痛くも痒くもないんだろうけど。
「はぁ、はぁ……なんかいつも俺からイってんな……」
「ん、んん、智志君が気持ち良ければ、俺はそれでいいや」
王司も少し息が荒れるなか、顔にかかった俺の精液を指で集めて口に含んでいる。どんだけ舐めて飲むんだ……いや、いいか。
聞いたところで俺にはまだ理解が出来ないんだから。
それよか、
「おーじ、はやくローション出せ。あるんだろ?この下に」
指差す場所はソファーの下。
立っていた俺はソファーにドカッと座りながら、また熱を持ち始める俺のモノに少し呆れを感じ取る。
元気なのはいいが、回復がはやくてどうも……。
「え、智志くん、知って――「我慢出来ないのは俺も同じなんだから、はやく気持ちよくさせろって」
それでも、お互いの気持ちを知り尽くしたセックスはいつもとは違くて、結構イイのかもしれない。
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