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【少々番外編】きじょーいがんばります
俺、絶対に今、頑張ってる……。
「あぁんッ、はぁ……!さとしくんッ、」
「ん、はっ、ははっ……興奮どころじゃ、ねーな」
だって、騎乗位というものを、ヤっちゃってるしさ……。
* * *
始まり――も、なにもない。
王司なりのイチャイチャを俺の部屋でしていたら、そうなっただけだ。
俺も嫌いじゃなくなってきたセックスに頭は抱えているがやっぱり嫌いじゃないし、むしろこうなったら開き直ってヤりたくなるというか……またいつもと同じで、俺のチンコをしゃぶって精液飲んでさらに興奮した王司が体勢を逆転させて突っ込んでいろいろ言われながら感じてお互い寝るんだろう、と勢いよく思っていた。
まぁ先は読めても王司の感じ方は面白いぐらい毎回違うから、流れのワンパターンはどうでもいいんだけどさ……。
はやくもセックスにたいしてマンネリを抱えてるわけじゃないぞ?
頭から丁寧にちゅっちゅっとキスをされて下がってきた唇は重なり、俺も合わせていると少し出来た隙間から舌が入り込んできては聞くに堪えないような音を立てながら王司の手の行方先を考える。
今度は乳首か?
そのままチンコに行くか?
たまにはヘソから舐めてみるか?
いろいろと増えていく王司に投げる可哀想な言葉。というか、たまには俺からヤッてやろうか?
なんて、一度も舐めた事がないのに思ってみたり……けど、暴走した王司なんて誰が止められるか――いたら挙手。
落ち着かせてみろよ。
王司の首を指先でくすぐりながらなぞっていると漏れる声。もちろんそれは王司の声で、俺はたまにの息継ぎ程度。
首筋をさらに撫でてやればぶるっと震わす体にキスしていた唇を離す。
「王司、お前弱いところが増えたな……」
「ンん、さとしくん……」
「俺はこっちだ、アホ」
ベルトを外す金属音に素早く取り出した俺のモノに向かって、俺の名前を呟いてきた。
確かに俺の息子でもあるがさとしなんて付けたことがない。たまに自分のチンコに名前を付けた、なんてアホみたいな話を聞くが、あれってどうなんだ……?
でもまぁ、今日も王司の口んナカにぶっ込むかー。とか、思っていたんだ。
思っていたのに、王司の奴が急にベッドに寝転んだのだ。
なにやってんだこいつ。
俺はベッドに座っているからポカーンとした表情を浮かべながら王司を見続ける。
「あっ、そんなにみないで……」
見られて勝手に感じてんなよ。
「てめぇはなにやってんだよ」
勃ったチンコを咥えさせようとする格好がバカみたいに映るだろ。正気に戻った時の恥ずかしさはハンパないんだからな?
「さとしくん、智志くんここに跨って?」
「はぁ?」
そう言ってポンポンと叩いた場所は、王司の胸元。つまりはそこに座るように、王司に跨り、両膝を顔の横につけ、と?
「で、押し付けるように息苦しさを感じさせて?」
……こいつ、いずれは首絞めてとか言うのかな――と、真面目な心配をし始めた瞬間。
でも王司の表情を見てなんとなくわかってきたところもある。最低でも、これは気持ちイイんだな、とか。これは頑張ってる感が溢れてるから、まだ慣れてねぇのか?とか、その程度で。
だからそんな押し付けるように息苦しさを感じさせろ、と言われても別にヤってあげなくもない、わけで……ああ、俺も成長したわけだ。
「智志くん、その間に俺が後ろ解してあげる」
「……笑顔で言うことじゃないだろ」
なんてツッコんだものの、さっそく王司の体に手をつき、よじ登るかのように王司が言った跨りをする俺も俺だな、と自重すべきところだと思った。
「慣れねぇ格好だな」
「ふふっ、智志君に見下されてて気持ちがイイ……」
ぺろ、と可愛らしく俺の内股を舐める王司。ちぅ、と歯を立てて少しだけ歯の痕が残る。
「智志くんの足、白くて細くて気持ち良いね」
痕を付けたところに頬擦りしながら呟く声が俺の耳に届いた。
届いてしまった。
「お前それナチュラルにディスってんの?」
「んにゃ……っ」
ぎゅっ、と出せる力で王司の顔を足で挟む。
つまりは筋肉もない足。俺からしたらバカにされたようにしか聞こえない。いや、こいつはそういうつもりで言ったんじゃないことぐらいわかっている。
わかっているが、どうにもこうにも効かないブレーキがあるだろ。
「ほら、しゃぶりたいんだろ?はやくしろ。そんでほぐせよ」
「んふぅッ……!」
作った笑顔に出た言葉は下品。この遠慮なしに上から言われるのが好きだ、と王司は言う。
変態に遠慮してどうすんだよ。聞きわけの出来ない奴を上から言わなきゃ、どう止めんだよ。それ含めて好きとか、嬉しい方向で受け止めればいいのか?
口のナカに入れたモノからじゅぼじゅぼと、俺の我慢汁に王司のよだれが混じって卑猥な音がBGMになる。跨った体勢からしゃぶらせているせいか、腰を振らなくてももう喉奥まではいってて、温かさにこのまま出そうかと思うほど。
喉奥のままに射精すれば、そりゃもう苦しいだろうよ。
水でさえキツいぞ。
「んっ……ん、おーじッ」
「ンん゙ん、ん゙ぅッ!」
まぁ、責めながらも、俺自身ケツの穴に指突っ込まれてるから今までみたいに余裕こいてられないんだけど。
「はぁ、おまえ、しつこい……っ」
「むぅんっ、んッンん……」
だめだ。触られながらだと上手く動けなくてイけねぇや。
「――はぁ……!はッ、へ、さとしくん?」
王司の手を掴んでケツの穴から指を抜けさせれば俺はしゃぶらせといたチンコも口のナカから抜いた。
跨ったままで気付かなかったが、こいつのローションの出し方は神ってると思う。いつの間に出していたんだ……もうベトベトじゃねぇか……。
「まぁ、こっちの具合もいいか……」
「さ、さとしくん、まだイってないよ?やだ、飲ませてよ」
「あー、待て待て」
焦るようにチンコを握ってきて咥えようとする王司の頭を押さえた。
「飲ませてとか言うなって」
「濃いのが飲みたいんだよ。喉奥に、ドロッとここから落ちる感じをさ?」
指差す位置は喉のあたりから食道にかけてなぞる。……そんなに溜まってねぇからそこまで濃くはないだろ。
「知らねぇよ、つーか挿れるわ」
「へっ」
そうだよ。
騎乗位なんてはじめたのは俺からだ。
セックスの流れに始まりもなにもなかったが、これは、俺からなんだ。だから頑張ってんだよ。
コンドームだって見様見真似でハメてやり、ガチガチに勃起している王司のチンコを少し支えながら、穴に。……まぁ、やった瞬間に後悔したさ。
「はぁぁ……!ん、ンんぅッ、さとし、くん、アッ……!」
「ん、ふぅ、ン……っ」
一言、こりゃ苦しい。
慣れてないせいでもあると思うが、こう、クるものがあるな……。
王司も、俺のナカに挿入ってから漏れる声がうるさい。
挿れてる立場である王司の喘ぎが大きいと、こっちもこっちで出すに出せないという謎現象。
別に出るっちゃ出るが、ジッと王司を見てると、笑えてくる。
「はぁ、はぁ……ん」
吐く息吐く息が精一杯。
「はぅん……っ、智志くん、さとしくん、」
「ん、だよ……」
「はぁ、好き、ぃ!」
「知ってる」
俺のリズムで気持ち良く腰を振っていると王司もテンションが上がったかのように喘ぎが大きくなり、腰を振り始めてきた。そのせいで奥の奥まで下から突かれて気持ちイイっつーか、こりゃなんだ。
あー、キモチ良いわ。
「はあっ、はまりそッ」
イける。
ラストスパートかのように腰を振る。王司の声も、聞いた事のない高らかな喘ぎ。力強い。
「あ、ぁんッ!はぁ、はぁ……!やぁッ、さとし、くっ!やぁっ、あ――」
ずりゅ、と。
耳にしないような、卑猥な水音。
「あ、ぁ……な、なん、で……ぇ……ッ?」
王司のチンコが、穴のナカから抜けた音。
「はッ、はぁ、いや?なんか、王司が嫌がってたから……」
「……っ」
「だから、抜いてやった」
そう言うと、王司は興奮で溜まっていた涙がボロボロと目から溢れてきた。
本当は知っている。嫌がってなどいないと。
ここで嫌がってたらおかしいだろ。むしろ俺が嫌がってたなら話は成立するが……こいつが嫌がるわけがない。
こいつを楽しませる、一種のプレイみたいなもんだ。マジでこいつの扱いに成長した俺、鳥肌立つだろ。
「いっ、嫌がってない!俺さとしくんとのエッチで嫌がったことない!」
「でもほら、やぁ、とか口にしたろ」
「ちがッ、違う違う……っ、違うって……!」
「うわ、おい、てめぇ、」
手は拘束するべきだったか……絶頂寸前。イきそこねたせいか混乱する王司は腹筋で上体を起こして俺の腰を掴み、また挿れようとしてきた。
涙で視界がかすんでるはずなのに、こんな時だけはなんでも的確に当てるこいつが怖ぇよ。
ちゅく、と先っちょが挿いってくる。
「智志くん、もっかい……ッ」
「……」
「さとしくん……!」
やっぱりこいつはバリタチなのかもしれない。
痛めつけられて反応する素質はもちろんある……が、本番になれば挿れたくて挿れたくてしかたがない、と。そこでイきたい、と。
張る綺麗な肌に俺は手の甲でペチンっと頬を殴って、
「せっかく遊んでやってんだ、楽しめよ」
呆れたように言いながら、王司が希望する挿入を再び始めて首に腕を回した。
「ぁふ、んッ、んっ、ん……ッ!さと、しくッん、大好きっ!」
「やっぱうるせぇ」
【きじょーいがんばります*END】
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