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第10話
今夜、何度目かになるのか、アンジュはもう覚えていない。
「あっ、ぁ……ッ……」
下肢を痙攣させながら放出する気持ちよさに、アンジュは硬く目を瞑る。
放った欲は、アンバーが舌で受け止めて、ごくりと喉へ流し込む音が聞こえてきた。
達した後の気怠さに、ぼんやりと思考が鈍る。
──また自分だけイかされた。
何度達しても、満足しないこの身体は、いったいどうなっているんだろう。
そんな事が頭に浮かんだ瞬間、突然身体を勢いよく反転させられて、息が詰まる。
「……ん……っ、う」
ばすんっと、そんな音を立たせて、顔が硬いスプリングに僅かに跳ねた。
少し乱暴な行為に驚いて、肩越しに振り返ると、金色の瞳が鋭く光る。
それは、まさに野生の捕食者の眼だ。
恐怖ではない何かに、身体が戦慄く。
自分は、今からこの雄に支配され、屈服させられるのだ。
そう思うと──ぞくぞくする。
双丘を割り開き、アンバーが鼻先を擦り付けてきて、ぴちゃりと唾液が滴る音と共に、後孔に柔らかく濡れたものが触れた。
思わず逃げを打つ細い腰をがっちりと掴まれて、獣の荒く熱い息を入口に吹きかけられた。
中が期待して、じわりと熱く濡れる。とろりとした体液がくぷっと自然に溢れる。
「前も後ろもぐっしょりだ……」
「う、うるさ……ぃ」
反抗する言葉も、甘い声音になって消えていく。
「……あつい……お前の舌熱い」
「俺のが熱いんじゃない、アンジュの中が蕩けて熱いんだ」
なんだか、いつもよりも男らしい声が返ってきて、うつぶせのまま腰を高く持ち上げられた。
熱く濡れた硬いモノが入り口にあてがわれて、また、ぞくぞくと身体が戦慄いた。
「ひっ、あ……あっ」
狭い場所を、狼の熱い猛りが割り開く。
──なんだか、さっきよりも……
「……おっき……ぃ」
今夜、そこに何度も受け入れたはずなのに、きつい。苦しい。
今までは、アンバーが力を抑えていたからなのか。それとも完全な獣人に変化したせいなのか。
明らかに、さっきまでと違う。
身体の中を、これ以上ないくらいに押し広げられて、アンバーの本当の形を覚えさせられる。
──きつい。苦しい。
でもそれ以上に──気持ちいい。
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