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第15話
「凄いね。中ぐっしょりだ。しかも熱くて、ぐいぐい締め付けてくるよ」
「……う、うるさぃ……ッ、……おま、ぇ……、出したの……が、残って……ん、だろ……」
長い時間をかけて、たくさん注がれた狼の精液は、未だにアンジュの腹の中を満たしている。
それをアンバーの指が掻き混ぜると、後孔から熱い粘液が溢れて、内股を伝い落ちる。
「僕のだけじゃ、こんなに熱くならないでしょ?」
アンバーは口元を綻ばせながら、わざと音が立つように中を掻き混ぜる。
「自分の手だけで、こんなに感じたんだ?」
「……ち、がぅ……っ、あっ」
アンバーのもう片方の手が前にも回ってきて、動きを止めていたアンジュの手に重ねられた。
「ほら、こっちは自分で動かして? 僕は後ろを気持ちよくしてあげるから」
「……や、やだ……」
こんなの嫌だ、恥ずかしい……と思うのに、アンバーの大きな手に促されて、既に先走りに濡れた半身を擦り上げると、もう抗えなくなってしまう。
後ろを掻き混ぜる指がふやされて、中が泡立つ音にも煽られた。
指と後孔の隙間からは、絶え間なく熱い粘液がトロトロと溢れて肌を伝い落ち、シーツに水溜りを作っている。
いつの間にか、促すように重ねられたアンバーの手は離れている。その事にも気付かずに、アンジュは必死に自らを慰める手の動きを速めていた。
だけど、アンバーの指が、欲しいところを触ってくれない。
その動きがもどかしくて、アンジュは腰をくねらせる。
「……あ、アンバー……もっと、おく……さわって」
催促しても、アンバーはクスッと笑い声を零して、受け流してしまう。
「ほら、手が止まってるよ」
「……っ、む、ムカつく」
アンバーは、わざと感じるところを外しているのだ。
アンジュが必死に、そこに当たるように腰を突き出しても、アンバーの指は巧みにそれを躱してしまう。
「アンバー……っ」
思わず情けない声が出てしまう。
「なに?」
──なんだ、こいつのこの余裕っぷりは!
「どうして欲しいの?」
──ホント腹立つ。
そう思うけれど、今はアンジュの方が劣勢だ。仕方ないけど、乗ってやる。
「も……指じゃ、足りな……ぃから……アンバーの…………て」
「ん? ごめん、聞こえなかった。もう一度言って?」
──後で、絶対殴ってやる!
心の中で悪態をつきながら、アンジュは掠れる声を振り絞った。
「アンバーの、その太くて硬くて長いので、もっと奥を突いてくれ!」
言った瞬間、顔がカーッと熱く火照るのを感じて、アンジュはシーツに顔を擦り付けるようにして埋めてしまう。
背中に張り付いているアンバーからは何も返事が返ってこない。
その代わりに、聞こえてきたのは……。
──パタパタ……パタパタ……
何かでシーツを叩くような音だった。
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