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第18話

 そうしてずっと……昨日の夜からずっと……。  アンジュが熱を帯びる度に、二人は何度も何度も繋がった。  昼に起きたのに、少し眠ったらまた夜がきて、また繋がって。  昼夜を問わず、二人でベッドの中で過ごして、行為に耽って。  腹の中がアンバーで満たされて、ゆっくりと熱を注ぎ込まれるのが気持ちよくて、温かくて、幸せで。 「僕も、アンジュに興奮して(さか)ってるからお互い様だよ」  アンバーは、そう言ってくれるけど、結局彼をこの浅ましい身体に、付き合わせてしまってる。  だけど、懐に閉じ込めるように抱きしめられて、両足に挟み込まれて、毛繕いするみたいに、うなじを優しく舐められながら眠るのが心地良い。  ここが、自分の唯一の居場所なんだ。ここから離れたくない。  できる事なら、ずっとこのまま何処へも行かず、二人きりでいられたら……なんて、怠惰な事を考えてしまう。  ──でも…… 「さすがに、腹減った……」 「……僕も……」  翌朝目が覚めたら、ギュルルと腹の虫が鳴った。  発情期は、まだ終わったわけじゃないけれど、どうやら今は、“性欲”よりも“食欲”の方が勝っているらしい。  それもそのはずで、このモーテルに来る前に、一応飲み物とパンは買ったけれど、それすら食べるのを忘れていた。 「これだけじゃ足りないよね。まさか、ここで二泊もするとは思わなかったから……。何か買ってこようか」  アンバーは、冷蔵庫から取り出したペットボトルの蓋を開け、ベッドで身を起こしたアンジュに手渡して、その隣に腰を降ろした。  ベッドの上には、袋に入ったパンが4個。  アンバーは、その一つに手を伸ばし、袋を開けて(かぶ)り付く。 「じゃ、取り敢えずこれ食べたら行ってくる」 「いや、オレも行くよ。もうチェックアウトした方がいいだろ?」  ここなら、二人きりでいられるけれど、ずっとこのままという訳にはいかない。 「でも……アンジュ、ベッドから出られる?」 「……? なんで? そんなのできるに決まってるだろ」  アンジュは、床に足を降ろし、立ち上がろうとした。 「……あ……っ」 「──危ないっ!」  しかし、脚に力が入らずに、すぐに膝が折れ、前のめりに倒れそうになったところを、アンバーの腕に支えられた。 「まだ無理でしょ?」 「脚に力が入らない……」  しかも腹が、どんよりと重い。少し力を入れただけなのに、くぷりと後孔から温かい液体が溢れて、内股を濡らした。

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