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第43話

「ここ、触られたんだよね?」 「──あっ!」  黙り込んでしまったアンジュの半身を、アンバーが不意に大きな手で握り込む。 「どうなの?」  問いかけながら、蜜口から溢れる先走りを指で塗り広げ、ゆるゆると扱き出した。  堪らずに、アンジュは観念したように小さな声で応える。 「……っ、う、ん……触られた……」  その声を聞いた途端に、アンバーは浴槽の中で身を屈め、アンジュの猛りに唇を寄せ、舌先でぺろりと舐め上げた。 「こんな風に?」 「……ば、ばか! そんな事されてな……っ……ぅ」  アンジュの声が聞こえているのか、聞こえてないのか、アンバーは唇を開き、先端からぱくりと熱に濡れた半身を咥え込んでしまう。 「……っ、あっ、ん」  熱い粘膜にすっぽりと包まれて、アンジュの唇から甘い声が漏れた。  長い舌を陰茎に絡めながら、強弱をつけて吸い上げられると、腰から背中に突き抜けるような痺れが走る。  脚に力が入らずに、立っていられない。  アンバーは、よろよろと崩れ落ちそうになるアンジュの腰を、大きな手で支えて固定すると、最初から追い立てるようなスピードで、顔を上下させ始めた。 「あっ、ぁ……だめっ、イきそ……あぁっ」  アンジュの口から零れる、悲鳴のような喘ぎ声が浴室に響いた。  ドクンと脈打ち、一気に水位が上がる。  自分の咥内でそれを感じたアンバーは、今にも弾けそうな先端を舌先で抉るように刺激して、射精を促した。 「は、放せ! あ、アンバー……っ」  逃げようとする腰をしっかりと抱き、更に強く先端を吸い上げると、アンジュの身体が強張り、白い太腿をヒクヒクと痙攣させ、細い指が、ギュッとアンバーの髪を掴む。  その瞬間アンバーの咥内で限界を超えた猛りが大きく跳ねて、喉奥に熱い飛沫が飛んだ。 「……ぅ、放……せ……ってば」  荒い息を吐き、力ない声を零すアンジュを見上げながら、アンバーはまだゆるゆると頭を上下させていた。  そうして、強く吸い上げて、最後の一滴まで搾り取り、コクンと喉を鳴らす。  漸くアンバーの咥内から解放され、アンジュは力なくヘナヘナと浴槽の中に座り込んだ。 「気持ち良かった?」  見上げると、唇を長い舌でぺろりと舐めるアンバーの頭に、獣の耳が生えている。  そして、着ている服はびしょ濡れだ。 「……馬鹿。お前、ビショビショじゃないか……脱げよ」  ──いつの間に耳生やしてたんだ。なら、尻尾はどうなってんだ?  そう思いながら、シャツのボタンを外そうと伸ばしたアンジュの手を、アンバーが掴んで、指先にチュッと口づける。 「ね? 気持ち良かった?」 「……ば、馬鹿。早く脱げよこれ」

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