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第17話 真実の果て

××× ゆりかご跡地。 僕はそこで、ナツネくんに会った。 夢だったのかな…… よく解らない。 朧気に瞼を持ち上げれば、跡地に程近いバス停のベンチに、だらん…、と身を預けていた。 ……あれ、僕……なんでこんな所に座って…… 確か、跡地に辿り着いてから……無心で穴を掘っていたはずなのに…… もしかして、寝ぼけてここで眠ってしまってたって事……? 「………」 いや、そんな事はない。 大きなシャベル1つで掘った後の、腕の筋肉疲労が残っている。 ……それに、アウトドアグッズを詰めたリュックがない。 「………」 じゃあ、寝ぼけてここまで歩いて……? ふわっ…… その時。微かに頬を撫でる風。 自分の汗の臭いに混じって鼻孔を擽ったのは……微かなナツネの匂い。 ……夢、じゃない……! ふと鮮明に思い出されたのは…… ナツネの肩を借り、支えて貰いながら、一緒に歩いた光景。 そう……か…… ナツネくん、生きてた……んだ…… 何だか酷くホッとして。 そしたら、ぷつん、と糸が切れたように……また意識が飛んでしまって。 「……伊江!」 最後に見たのは…… 目を見開いた、カズの顔……… 「……伊江」 カズに、抱き締められる。 お互いの素肌を合わせれば、その温かさに心が絆されていく…… 僕を探しに来てくれたカズは、意識が遠退いた僕を抱き締め、引き上げてくれた。 僕は……ゆりかご施設へと連れ去られるキッカケとなったバスに……あれからずっと、乗れていなかった。 だけど、ナツネに会ってから………乗れた。 揺れるバスの中、隣に座るカズに身を委ね……肩に、そっと頭を預けて。 床に転がった2つの林檎。 シャワーを一緒に浴び、足元のふらつく僕の体と髪を洗ってくれて。 まだ肌も髪も湿ったままのカズと、なだれ込むようにベッドインして…… 「……はぁ、……ぁ、」 キスの後、組み敷かれ。 ぷっくりと膨らんで芯のある乳首を舐められ。 舌先で弾かれ、甘く噛まれて…… 「伊江……、」 「……あぁっ!……カズ」 弓形に背が仰け反り、ビクンッと体が反応する。

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