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第7話

庶務君が狼になる5日前ーー 僕の前に久し振りに兄の吹雪(フブキ)が現れた。兄さんは相変わらず、真面目そうな風貌で、僕を見るなり眉を顰めた。 「兄さん、久し振り。」 「夏乃。生徒会を辞めなさい。」 眼鏡をクイっとあげた兄さんは僕を睨みつける。その鋭い目つきで僕は何も言えずに押し黙った。 「返事は無いのか。答えなさい。」 「…僕、生徒会の人に憧れて、入ったんだ。だから、やり通したい。それに成績は下がってないよ?やる事もちゃんとしてるし、真面目にしてる。」 「そういう意味じゃない。今すぐに辞めなさい。」 「なにそれ、意味わかんないよ。生徒会に入ったら人脈も増えるし、先生との接点だって多くなる。兄さんに迷惑もかけてない。それどころか家にとって恥ずかしくない立場になるはずだろ?なにが悪いんだよ。それとも、僕に目立って欲しくないの?不出来な弟だから?そんなに嫌いなの?僕のこと。」 「違う。俺は…。」 兄さんが何かを言いかけた時、丁度携帯が鳴り出した。兄さんは相手を確認するとともに、俺に一言だけ声をかけると、家から出て行った。 「取り敢えず、生徒会は辞めなさい。」 その言葉が、ぐるぐると頭の中を駆け巡る。兄さんが何を言いたいのか僕には何1つ理解出来なかった。

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