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第9話

目の前には沢山の生徒。 集会の始まる時間はとっくに過ぎているというのに、何も始まらない。 生徒達は徐々に騒ぎ出す。 僕はクラスから離れ、会長を探す。 本来なら集会時、会長が前に立って生徒の指揮をとるからだ。それなのに今日は会長どころか先輩すら姿を現さない。 少し焦りながらも先輩を探す。 頼むから。 頼むから。 姿を見せて。 涙目になりながら、先輩を探す。 探した。 だけど、先輩はどこにもいなかった。 「一青、何してる。早く集会を始めないか。」 生徒会顧問の先生が鬼のような形相で僕を怒鳴りつけた。 「す、すいません。でも、会長がいなくて…。先輩も何処にいるのか分からなくて僕は何をしたらいいか…。」 「はぁ?何を言ってる。今日の集会はお前が全て兼任すると聞いていたぞ。忘れていたのか?」 「え?そんなの、聞いてないです。」 「はぁ?聞いてないでは済まされないぞ。まったく、これなら二階堂が庶務をしてくれていた方がよっぽど…。」 その先の話は聞こえなかった。ただいつのまにか校長先生が出てきて話をし出した。どうやら今回は仕方なく、校長先生が前に立ちお話するそうだ。 生徒は困惑しつつも、なんとか集会は幕を閉じた。 僕が知らない事が起きている。どうして僕が集会をしなければならなくなっている? わからない、わからない。 頭が霧がかっていくのを感じた。

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