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第10話
僕は何も知らなかった。
集会の件、何も知らされていなかった。
それなのに、生徒の間では、教師の間では、生徒会内の間では、僕のせいになっていた。
集会が始まらない理由。
集会の内容が決まっていなかった理由。
生徒をまとめられなかった理由。
全ての責任を押し付けられた気分だった。
靄が広がり、霧がかかっていく。頭がぐちゃぐちゃになって、黒く染まっていく感覚に陥っていた。
その集会があった放課後、僕は生徒会室の目の前にいた。密かにそっとドアを開けようとした。
取り敢えず、謝ろうと思ったのだ。
知らなかったけれど、聞いていなかったけれど、非はないと思うけれど、僕は謝ろうと思った。
だから、ドアを開けて、頭下げて、それでも知らなかったことを告げて、円満に終わらせようと思っていたんだ。それなのに、どういう訳か、僕の悪口が聞こえてくる。
「一青は何をやってるんだ。今回の集会は彼奴が仕切る予定だったはずだろう。」
「やはり無理があったのでは?」
「一青君には、無理だったんじゃないかな?仕事だってここ最近遅れて提出してるんでしょ?提出期限に間に合わせられない子に庶務なんて務まらないよ。」
僕は提出期限に間に合わなかったことなどない筈だ。それどころか先輩の仕事も手伝っていた。
一体、何がどうなっているんだ。僕の功績は何処に行った。
そもそも、集会は生徒会全員でするのが鉄則だった筈だ。
それなのに、僕1人に押しつけようとしたんだろ?
ありえないだろ。
仕事してないのはどっちだよ。
お前らはここ最近何も仕事してないじゃないか。
僕が悪いのか?
それとも僕にもっともっと仕事やれって言うのかよ。
…ざけんじゃねーよ。
こちとら仕事三昧だっつーの。
いつサボったよ。
ほんっとに、俺は何に憧れてたんだ。
馬鹿みたいだ。
こいつらただのポンコツじゃねーか。
人に責任擦りつけて、仕事押し付けて、人気だけは自分らの物ってか?
あぁ、本当に馬鹿だな。
「一青、辞めさせるか…。」
カチンときた。
何かが切れた。
張り付けていた仮面が壊れた。
じわじわと目に見えぬ怒りが溢れ出した。
「ふざけんな…。ふざけんな。ふざけんなふざけんなふざけんな。ざけんじゃねーよ。」
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