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第12話

多々side 俺の通う高校には同中の奴が2人いる。どちらも友人ではあるが、同じく不良だった。 まずはそのうちの1人、一青 夏乃の話だ。 夏乃は同中の奴らなら誰でも知っている不良だ。中学時代ではトップとも言える立場であり、不良グループの中でも有名な奴だった。 しかし、それが変わったのが中学3年の秋。他の中学の奴らは気付いていなかっただろうが、確かに夏乃は変わっていた。夜遊びもしないし、服装も落ち着き、話し方も穏やかになった。 その証拠というもの、高校に上がった瞬間のイメチェンは酷かった。最早、イメチェンレベルを優に超える変わりようだ。 例えば、制服の着方。 着崩ししまくりで、平気でズボンの裾を曲げ、中にパーカーを着て、チャラチャラしていた。後は、髪を染めたり、ピアスを開けたり、ブレスレットなどのアクセサリーは当たり前のようにつけていた。 それが、高校に入った途端に着崩しはない。ブレザーは皺1つない。校則の規定通りの髪型髪色。アクセサリーなんて持っての他。 そして、新たに伊達眼鏡をつけいかにも優等生な好青年へと移り変わっていた。 中学の面影は一切なかった。因みに俺が一番ひいたのは外見ではなく内面の変わり様だ。 俺っ子夏乃は僕っ子になっており、刺々しかった喋り方はそれこそ穏やかに、無口でブスッとしていた表情は少しオドオドしていたが、終始ニコニコしていた。 まるで別人 頭でもうったのか心配になり、近寄ると夏乃はニコリと笑って 「そんな事ないよ」 と言っていた。それを聞いて性格そのものが変わってしまったのだ、これは偽物の夏乃だとそう思った。 が、その放課後、夏乃は悪魔の笑みを浮かべて俺を脅してきた。 「お前、中学の時の事は誰にも言うなよ。言ったらてめぇ、ぜってー殺すからな。」 俺は即座に本物の夏乃だと察した。

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