13 / 127
第13話
夏乃の豹変は長い事続いた。
あれから、不良夏乃はどこか遠い彼方へと消えていたのだが、今、俺の目の前には再び不良夏乃の姿が現れた。
ストレス爆発での変動だろうか。
真面目な夏乃は誰よりも朝早く登校していたというのに、その日の夏乃は昼時まで無断欠席をしていた。
担任はそれを心配していたのが、丁度昼飯の時間、ひょっこりと夏乃は現れた。
その姿は中学の時を連想させる格好ーー
金髪に染めた髪、限界まで着崩した制服、ジャラジャラと音を立てるアクセサリーの数々、耳には愛用のピアス。
人間は1日でこんなにも変貌出来るものなのか。
最早、誰1人としてこれが夏乃だと気付いていない。寧ろ、やばい転校生がやって来たと噂が立つくらいだった。
だから、この生徒が夏乃の席に座ったのを見た生徒達は慌てた。慌てふためいて、ここは一青の席だと弱々しくも言いに行く奴もいた。
勿論、あれは夏乃だ。
ガンを飛ばして
「俺が一青だ」
と言った時には皆、固まったものだ。
そして、同中で一番の夏乃の友人である俺にクラスメイト達は助けを求めたのである。
「夏乃、お前どうしたんだよ。1日でその変貌は可笑しいだろ。そもそもそのピアス痛くねぇのか?塞がり始めてただろ…。」
「痛くねぇ。」
「生徒会はどうしたんだよ。」
「辞めた。」
「えっ…。いや、まぁ、そうか。取り敢えず屋上行こう?な?こんな所で話せる内容じゃなさそうだし。」
「お前…、俺に指図すんなよ。殺すぞ。」
「分かった。分かりました。焼きそばパン奢るから屋上行こう?」
「舐めてんのか…。」
チッと舌打ちをした夏乃は何かを考えた後、唐突に立ち上がり集まっていた群衆にガンを飛ばしながら教室を出て行く。
そんな夏乃の後を追い掛けた。
ともだちにシェアしよう!