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第17話
俺が生徒会に憧れたのは中3の夏。きっかけは現生徒会会長、巽大和(タツミヤマト)だった。
1年前ーー
いつものように繁華街をふらふらと歩いていた俺に、いつものように不良が絡んできた。その当時から髪は金色で、夜に歩けば100発100中絡まれる。俺は分かっていて歩いていた。
むしゃくしゃした時に人を戸惑いなく殴り飛ばせるからだ。しかし、その日絡んできたのはガタイのいい大人3人でその手には刃物が握られていた。
総長がどうのと言っていたのできっと先週ぶっ倒した不良の復讐にでもきたのだろう。勿論、この俺が負けるわけがない。
刃物を持ってろうがなんだろうが気にせず殴る、蹴る。
痛みに鈍感な俺は自分がどれほど傷ついても気にしない。
しかし、いつの間にか目の前にいる大人の数は増えていた。仲間でも呼んだのか。一斉に俺に飛び掛ってきた。
逃げるという選択肢はない。
殴り殴られの攻防戦が続く。適確に相手の急所を狙っていき、倒していく。あと半分。そんな時、俺は腹を蹴られた。流石に痛みが襲い、血反吐を吐いた。
ああ、少しヤバイかも。
なんて、いつもなら考えもしないことを思った。
その日は久々に父親に呼び出されてむしゃくしゃしていた。
無関心を気取っておきながら、進路はどうしただの、いつまでそんな頭でいる気だとか、そんな事を永遠にぐちぐちと言われ続けた。
今更父親面されたところで、それに従うと思っているのか。寧ろ反してやろうという気で家を出てきた。
むしゃくしゃする。
その一言だ。母さんが生きていた時までは普通の家族だったから余計に思うのだ。
今更なんだ、と。
血がとぶ。
目の前が真っ赤になる。
それでも関係ない。
ああ、嫌だ嫌だ。
「くそっ、腕抑えろ。」
「なんだよ、こいつ化け物かよ。」
「裏回れ。」
相手の声が遠くなる。腕を掴まれ、頬を殴られる。俺も頭突きをしてやり返す。頭がじんじんしながらも、蹴りを入れて体勢を整える。
フラフラと体が揺れた。
ああ、やられる。
相手の腕が振り上げられたその時。
「おい、何をしている。」
路地裏の入り口から男が声をかけてきた。光で顔はよく見えない。
「中坊のガキ1人に大人が何をやっているんだ。」
「あっ?こいつの仲間か?」
「ちっ、仕方ねぇ。おいっ、俺が相手してやる。かかってこい。」
ものの数分で男は数人の大人達をなぎ倒した。呆気なく終わった喧嘩は俺にとっては面白くなかった。でも、そんな事より先に警察を呼ばれる前に逃げないと。
「おいっ、その傷でどこに行く気だ。」
「さつが来る前に逃げる。」
「ふらふらしてんぞ。」
「うるせぇ。俺は礼なんて言わねぇから…。」
ふらりふらりと前に進む。しかし、目の前がぐにゃりと曲がると共に俺の体はバタンと倒れた。
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