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第25話
「冬乃君、お腹空いた?」
「いや…別に。」
「だよね〜。って事で大和はちょっと待ってて。我慢しなよね〜。」
「お前…。」
「冬乃君、熱は下がってそうだし、ゲームしよう。どこかの誰かさんのせいで眠れなかったんだし。トランプなら確かこの家にもあったと思うし。」
「トランプなんかあったか?」
「うん、結構前に来た時につまんない部屋だなって思って戸棚の中にトランプ隠しといたんだ〜。ほらっ、あった〜。」
部屋の片隅にある戸棚の隅にトランプの箱がポツンと置いてあった。それをつまみ取ると、箱を開けて中身を出した。
「何する〜?やっぱりババ抜きかなぁ〜?」
「ばば、抜き、する。」
「じゃあ、ばば抜きしよっか〜。大和君はするの?」
「…やる。」
そこから何故かババ抜きが始まった。初めに勝ったのはチャラ男。そして、俺、その次が能天気男、で、ババを手元に残したのは完璧男だった。
まぁ、料理もババ抜きすら負けるんなら完璧でもなんでもないけど。しかし、結果から言うとその後完璧男ならぬ俺様男は一度も負ける事はなかった。
「大和君は一度コツを掴むと何でも出来ちゃうからな〜。面白くないんだよ。まっ、料理の腕だけは負けない自信あるけどね。って事で夕飯作るから後は適当にやっといて〜。」
チャラ男は部屋から出るとキッチンの方へと真っ直ぐ向かっていった。今夜のご飯は俺の体調を気にしてかうどんだった。
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