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第33話
豪華絢爛なマンションの側には見慣れた車が一台。後部座席にいるのが真斗だと分かる。
「あっ、夏乃さん!今まで何してたんですか。心配してたんですよ。
メールも返信来ないし、いくら電話かけても出ないし…。
喧嘩吹っかけてた男共捕まえても、後から出てきた男とどっか行ったっていうしで。俺、すげぇ心配したんすよ。」
「ああ、悪い。」
「ああ、悪いじゃないですよ。俺、心配で夜も眠れなくて…。でも、夏乃さんはなんか機嫌良いですよね。やっぱり何かしてたんですか。」
「何もしてねーよ。どっかの馬鹿に看病されてただけだ。嫌、遊び相手になってただけか。」
「えええ、何なんですか、それ。俺だって夏乃さんのお世話したかったです。」
「おいっ、そんなことどーでも良いんだよ。多々ん家に行け。」
「多々さんも相当怒ってましたよ。」
「多々が俺を怒れるかよ。」
あの意気地なしが俺に刃向える訳がない。
その後、何も言えないくらいに論破され、冷たく無表情で怒られることをこの時の俺は考えもしなかった。
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