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第37話

そもそもここはどこなのか。 校舎裏であり体育館のすぐ近くなのは分かる。 だが、辺りを見渡しても誰もいない。溜息をつき携帯を取り出す。多々に連絡をと思ったが、いくら電話しても出ない。 再度溜息を吐いてからぶらりと歩き出した。 木々が生い茂る校舎裏に人はいない。無駄にデカイこの学園に怒りを覚える。どうにか人のいる場所に出ようと、微かに聞こえてきた声の方へと足を進めた。 「ちょっと、貴方どういうつもりか知らないけど、最近ルー様の周りをうろちょろしてるらしいね。分かってると思うけど、ルー様は神様なの。地味で平凡な貴方が近づいていい相手じゃないの。分かる?」 だが、足を進めた先はイジメの現場だった。 縮こまっている前髪が長い男をちっこい男と大柄の男2人が取り囲んでいる。 「胸くそ悪りぃ…。」 なんでこんな日にまでキーキーうるさい猿みたいな奴らを見ないといけないんだ。 無性に腹が立つ。 あのお綺麗な顔を殴ったらどんな顔をするだろうか。きっと、もっと顔を真っ赤にして猿のように憤慨するのだろう。 「あー、めんどくせぇ。」 目の前で平凡な男が殴られそうになっている。 それは、猿のようにキーキー嘆く男の子分のような大柄の男。どうも高校生では考えられない巨大だ。あの腕で殴られればタダでは済まない。 そもそもなんでこの俺がこんな連中の喧嘩を見なければならない。 多々とは連絡つかねぇし、来いって言ったから来てやったのにあいつら全然姿現さねーし。 くそっ、さらにムカついてきた。 「おいっ、てめぇら俺の前でクソみたいなことしてんじゃねぇぞ。ぶっ殺すぞ。」 「あ?なんだ、お前。」 俺より頭二個分ある巨大。 ムカつく。 「なに?中学生?悪いけど、正義のヒーローごっこは他でやってくれる?今なら見逃してあげるよ。」 「だとよぉ。ガキはさっさっとママのところに帰りな。」 「ガキじゃねぇ。舐めんな、殺すぞ。」 ギロリと睨むとヒッと悲鳴をあげた。そして巨大の1人を殴る。 「おいっ、くそっ、ざけんな。」 もう1人も容赦なく腹を蹴り殴り飛ばした。 さては喧嘩慣れしてねぇな。 つまらなねぇ。 いつも行く繁華街の奴らの方がよっぽど強い。 冷めた目で睨みつけていると、後方からパタパタと走る音が聞こえた。 「制裁を辞めなさい。既に風紀共に生徒会が取り囲んでいます。」 あっ、と思った。その声の主は久々に見た眼鏡のものだった。

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