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第38話

「…?この状況は、どういう事でしょう。」 周りには地面にくたばっている大柄の男2人とふるふると震える男、それと虐められていた平凡な男が呆然と立っている。 側から見たらよく分からない状況だろう。 「取り敢えず、情報の通り小野寺ルウの親衛隊隊長とその他2人を連行しましょう。被害者は念の為保健室にお願いします。」 その指示通り、風紀は大柄2人と先程からキーキー煩かった男の腕を掴み、平凡男と一緒にその場を去って行った。 「副会長、彼はどうします?」 「彼…?ああ、学園祭に来た子ですね。恐らく中学生でしょう。さっきのあれは彼の仕業でしょうし、一応名前だけ聞いて今回は帰しましょう。被害者を助けるために行ったのでしょうし。」 眼鏡は未だにこちらの存在に気づいていない。ただ、自分から名乗るのもプライドが許さない。ムカムカとしながら舌打ちを打った。 「おいっ、クソ眼鏡。さっさと帰らせろ。」 「クソ眼鏡…?私の眼鏡をクソ呼ばわり…。ふざけないでください。私の眼鏡はこの世界で一番素晴らしいですよ。」 眼鏡は凄い形相でこちらを振り返った。 やっと眼鏡はこちらを見た。 これで知らないふりでもしようものなら、あの眼鏡ぶち壊して粉末状にして捨ててやろう。 「あっ、冬乃?冬乃じゃ、ないですか?本当に来たんですね…。」 驚いたような、でも口角が少しずつ上がる眼鏡。 「きちゃ悪りぃかよ。」 「そんなはずはありません。何の為にチケットを渡したと思っているのですか。あまりにも遅いので、忘れられたのかと思っていました。もしくは、プライドが高過ぎて来ないかと…。」 「プライドが高くて悪かったな。」 まぁ、実際に多々が行くと言わなければ無駄にデカイプライドのせいで来なかっただろう。眼鏡はクスクスと笑い俺の手を引っ張る。 「まだ、この時間だと生徒会主催のイベントは終わってませんね。途中参加は出来ないものですし、適当に回りましょう。ご飯は食べましたか?」 「ああ。」 「では、ご飯はいいとして。何をしましょうか。私と巽のクラスの催し物でも見に行きますか?確か、今回は写真展と言っていましたね。」 「写真展?なんだそれ。」 「取り敢えず、行ってみましょう。私達はあまり関わっていないのでどんなものなのか分からないのですが。」 眼鏡はクスクスと楽しそうに笑った。

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