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第39話

眼鏡のクラスの前。 看板には『写真展〜イケメンと共に〜』と書かれていた。その横には眼鏡と俺様男の等身大が置かれていた。 ジッと眼鏡を見つめると、カッと顔が赤く染まった。 「お前、これ恥ずかしくねぇの?」 「恥ずかしいに決まっているでしょう。」 急いで眼鏡は教室へと入る。 「七瀬、七瀬はいますか?」 「げっ、橘。なんで来たんだよ。」 男らしい短髪のがっしりとした男が顔を歪めた。身体つきから運動部に所属していそうな好青年だ。 「なんで来たんだよじゃありません。教室の前にあったあれはなんですか!」 「いやぁ、イケメンの、それもうちの会長と副会長の等身大を置けば儲かるかなと思って…。予想通りで笑えなかったけどな。」 わっはっはと声高く笑う目の前の男の頬を眼鏡は抓る。 「聞いてませんよ。こんなこと。ふざけるのも大概にしてください。」 「えー、だってお前ら生徒会を理由に全然手伝いに来ないじゃん。少しくらいいいだろ。お前らの等身大のおかげで今年は3年を差し置いて優勝できるかもしれないぜ。そういや、お前の隣にいるやつ、何?見たことねぇな。中坊か?真面目なお前と一緒にいるとミスマッチだな。」 「話を逸らさないでくださいよ。この子は私の友人の冬乃です。」 「へー、俺はこのクラスの委員長兼、体育委員長だ。写真展だが、コスプレしてこの等身大と写真も撮れる。まぁ、楽しんでけ。」 ニッカリと男は笑った。 じっくりと教室を見て回る。 教室の左半分には人物写真や校舎の写真が貼られていた。心なしか俺様男と眼鏡の写真が多い気もしたが気のせいだろう。右半分には色々な服が掛けられていた。 写真展と言うわりには服の方が多い気もする。 「コスプレ屋とかにしたら、副会長のこいつが許可出してくれそうになかったからな。」 俺の言いたい事が分かったのか、眼鏡を見ながらニヤニヤとガタイのいい男は言った。確かに写真だけだと売り上げにはならない。 しかし、俺はコスプレも等身大も興味はない。写真もちらりと見た。もう、ここでする事はない。 「コスプレには興味ない。帰る。」 「興味ないは酷いぜ。んー、おっ、よく見たら可愛い顔してんじゃん。」 「あ?殺されてーのか。」 「殺されたくはないな。記念にコスプレしてけよ。メイドとかは…、って2人揃って睨むなよ。しゃーねぇ、執事とか新撰組とか一応あるからそれ来てみろよ。」 無理やり背中を押され、試着室と書かれるカーテンのかかった教室の隅に押し込められた。

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