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第41話

「ヤッホー、久しぶりだね。冬乃君。元気してた?」 「お前は相変わらずだな。」 相変わらず、チャラチャラしている。特に今日はホストの格好をしているので、チャラ度は際立っているように感じる。 「にしても、その格好…。楽しんでるみたいだねぇ。」 クスクスと笑うチャラ男を叩く。結局、着替える暇を与えてくれなかったので、甚兵衛はそのままだ。 「ざけんな、無理矢理着せられたんだよ。」 「そっかそっかぁ。でも、なんか、幼さが増し…。ううん、なんでもなぁ〜い。さて、翼君には学園祭を案内してって言われてるんだよねぇ。どこか行きたいとこある?」 睨みつけるのをやめ、素直に考える。だが、別段行きたい場所もない。ふるふると首を横に降る。 「なら、どうせならうちのクラスにも来てよ。楽しーと思うよ。」 そう言われて、付いていった先にあったのはフリフリの衣装に身を包んだガチムチの男どもが接客する恐ろしい場所だった。 「今回はウケ狙いらしいんだよね。可愛い子は襲われ回避のために裏でクッキング。 表に出るのはレスリング、柔道、空手、ボクシング、アメフトにラグビーの部活してる奴ら。 ほんっと、俺がいない間になんて事してくれたんだろうね。」 「お前の格好はなんなんだよ。」 「ああ、これ?これはほらっ、こんなゴツゴツしたやつばっかりだと売り上げも伸びないと思っての苦肉の策。 まぁ、あれはあれで、面白半分の奴らが結構来たみたいだけど。可愛い子釣るには俺みたいなイケメンが必要なんだよ。」 たしかに、こいつと移動中、女みたいな男がこちらをガン見していた。こいつの自意識過剰ではないのは分かるが、なんとなくムカついたので足を踏んでおいた。 「いらっしゃいませ〜。ご主人様♡」 語尾に気色悪い♡をつけたガチムチメイドが席へと案内する。ウインクでもしてみろ。吐き気ものだ。 「帰る。」 「まぁ、まぁ、本人達はこれでも頑張ってるんだから。ね?奢るからさ。」 はぁ、とため息をつく。そして、メニューを開いた。 ーーー メイド喫茶カフェ(๑>◡<๑) ふわふわわオムライス〜ご主人様と食べるトロトロ卵♡ 560円 カレーハンバーグ〜ご主人様とスパイシーな関係を♡ 740円 彩りパフェ〜ご主人様とらららランデブー♡ 520円 紅茶セット〜ご主人様と共に♡ 430円 ーーー 無言でメニューを閉じた。 「このセンスなさがいいと思わない?」 そう言うチャラ男の口元は明らかに引きつっていた。 誰が考えたかは知らないし、知りたくもない。ただ、ミニスカートから覗く足は太く、無駄毛処理もされていないゴツゴツのメイドに、メニューをそのまま読ませるのは少し、いやかなり神経を疑う。 結局、紅茶セットを頼んだ。ガチムチメイドが投げキッスをしてきた時にはまじで帰ろうかと思った。そのくらいカヲスなひと時だった。 余談だが、紅茶セットは紅茶とケーキが付いていた。味は普通に美味しかったとだけ、付け加えておこう。

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