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第42話

異空間から現実へ。 30分もしないうちにギブアップした俺は安らぎの場を求め、生徒会室へと向かった。 チャラ男曰く、生徒会室のある校舎は学園祭中は立ち入り禁止だと言う。その為、生徒会室は静かだろうとのことだ。 「はぁ、やっと落ち着ける。うん、2度とあのクラスで学園祭はやらない。」 こいつは長くあの異空間で働いていた。のに関わらず、俺をあそこに連れて行ったのは何故か。 ーー嫌がらせか? 「働いてる分は良かったんだよ。可愛い子が俺に会いに来てくれるから。でも、客としては入ってはならない聖域だったね。」 言い訳のように呟くチャラ男の顔はげっそりしている。どうやら、悪意があってあの空間に連れて行ったわけではないようだ。 生徒会室に入ると、丸い塊がソファにあった。豪華絢爛だとか生徒会が使うような部屋ではないだとかそんな言葉が出る前に、その丸い塊に気をとられた。 チャラ男はその塊に近づき、トントンと叩く。 「おーい、雫。起きて。」 「んー…。」 丸い塊からぬきっと頭が生える。 「おは、よ。」 目をこすこすと擦り、むくりと能天気男は起きた。 「雫、仕事はどうしたの?この時間は吹奏楽部の監督してなかった?」 「んー、ねむ、くて…。起き上がれな、かった…。」 「え〜、それ、ほんと?本当ならやばい奴だよねぇ。」 のんびりとした声色に本当にやばい状況なのか疑う。だが、せかせかと携帯を出すチャラ男はものの数分で生徒会室から出て行った。 「雫、仕事はもういいから、冬乃君の面倒見るのよろしくね。」 その言葉だけを残して。

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