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第44話
人肌が心地いい。
それなのに、何故か周りが騒がしい。
「ーーーって、巽?何を…。」
何かに引っ張られ、そのまま床に落っこちた。背中に衝撃が走る。
「いってぇ…、何すんだよ。」
「お前、寝過ぎだ。」
「はぁ?」
ばっと顔を上げると俺様男が。それだけでない。眼鏡とチャラ男もいる。
「巽、やり過ぎですよ。もう少し優しく起こしてあげないといけませんよ。大丈夫ですか?冬乃。」
眼鏡に手を引っ張られ起き上がる。まだじんじん背中が痛む。
「行くぞ。」
「どこにだよっ。」
「最後の仕事だ。」
「俺、関係ねぇだろ。」
じっと見つめ合うも、ふっと鼻で笑われた。
「巽、意地悪は良しなさい。冬乃、これから後夜祭の花火の打ち上げが始まるんです。」
眼鏡の話では、最後に打ち上げられる花火はこの学園祭の目玉らしい。学園の生徒は勿論、来場客もその花火を見ることが出来る。花火師をわざわざ招き、打ち上げるので、坊ちゃん揃いのこの学園でも一大イベントになると言う。
「特等席で見せてやるよ。」
俺様男はドヤ顔で俺の手を引っ張った。
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