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第48話

怪我をしたまま家に帰る。 本当は家になんて帰りたくない。だが、あの場で家に帰らないという選択肢はなかった。 ただ、家に帰ってすぐに後悔した。 「夏乃…。」 目に映ったのは兄さん。俺の姿を見ると、険しい顔をしてこちらに向かってきた。 「今まで何をしていた。」 「兄さんには関係ない。」 「…お前、生徒会を辞めたらしいな。何か関係があるのか。」 「関係ないって言ってんだろ‼︎」 なんだよ、兄さんも辞めろって言ってただろ。それなら、もういいじゃないか。放っておいてくれよ。 「夏乃、喧嘩は全く意味のない行為だ。誰かを傷つけた所でお前の痛みは変わらない。そろそろ大人になれ。」 「うるさい。」 「お前には生徒会以外に支えてくれる人間がいるだろう。ちゃんと周りを見ろ。」 「うるせぇ、あんたには分からない。父親の言いなりになってるようなあんたに分かってたまるかよ‼︎」 分からない。何がこんなに嫌なのかわからない。自分が何を求めているのかさえわからない。 わからない、わからない、わからない ただ、苛つくんだ。

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