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第54話
「2人で何してるんだよ。」
2人揃ってゼーハーゼーハーと息を整えていると、奇妙なものを見たかのように眉を潜める真斗がいた。
「真斗か。」
「…あんた、病み上がりじゃなかったか?」
「ああ、お前にも迷惑かけたな。」
素直に謝った夏乃に真斗もタジタジになる。何かを言い淀むように瞳をきょろきょろとした後、真斗は夏乃を見た。
「…、、、俺だって強くなってるから。むしろ、今じゃ…な、夏乃さんより強いから。だから、そこのアホにばっか頼んなよな。」
誰がアホだ。そう言葉にしようとしようとしたら、真斗は吹っ飛ばされた。誰に?夏乃にだ。
「誰が誰より強いって?」
そこかよ…。呆れた目で見る。にしても素直じゃねぇな。
「夏乃、隠しきれてないぞ。顔、真っ赤。」
「うっせ。おい、真斗、立て。行くぞ。」
未だに殴られたショックで固まっている真斗に、手を貸してやる。ツンデレ夏乃は最近デレが多いらしい。
…このまま、夏乃が夏乃らしくいられればいい。なんて、柄でもないことを考えていた。だが、それもすぐに諦めることになる。
「よぉ、真斗。相変わらず、お山の大将気取りか?」
校内を歩いていると、金髪の男がこちらを見て、というより真斗に喧嘩を売ってきた。
この学園にも不良は存在する。表立った行動はしないものの、確かに存在する。F組と呼ばれる不良だらけのクラスがあるくらいには。
ちなみに真斗はF組のリーダーだと胸を張って自慢していた。となると、こいつらは一体…。
「ん?そこの2人はなんだぁ?カツアゲ中かぁ?かっかっか。お前、そんなチビとひょろひょろ相手にしてんのか、だせぇな。まぁ?真斗君が金分けてくれんならお手伝いしてあげてもいいでちゅよ?」
ゲラゲラとはしたなく笑う目の前の不良。真斗はちらりと見るが殆ど相手にしていない。
が、相手にするツンデレはいた。
というかまた目の前の不良が吹っ飛んだ。
「てめぇら誰がチビだ。殺すぞ。」
「おい、夏乃。しばらく喧嘩しないんじゃなかったか?」
「それとこれとは別だ。自分から喧嘩は売らんってだけで誰も買わないとは言ってねぇ。」
いや、喧嘩しないってことは売られても買わないって事だろうが。しかし、突っ込む前に目の前にいる不良共はノックアウトした。
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