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第55話
「おい、真斗。お前がいたのになんで舐められてんだ。」
「そ…いつらは学年がちげぇから。」
「学年?」
目を逸らした真斗は言い淀む。
確か、真斗以外にも裏社会のトップの息子がいたとかなんとか。
ああ、だから派閥が2つあるってことか。
「はっ、さっきは俺より強くなったとか戯けたこと言ってたくせに学年ちげぇだけでこれかよ。恥ずかしくねぇのか。」
「俺が勝手に動いたら親父たちに迷惑かかるんだよ。」
「子供の喧嘩に横入れする親が長やってたらそれこそとっくに潰れてんだろ。まっ、相変わらず意気地なしの真斗に変わって俺があいつら片してやるよ。」
「夏乃、それ喧嘩売るってことだぞ。」
「はっ、先に喧嘩売ったのはあっちだ。だぁれが、チビだ。ぜってぇ許さねぇ。」
やっぱり怒ってるところはそこなのか。それこそ、ちっせぇよ夏乃…。
という事で、夏乃はそのままもう一つの不良グループを倒しにたむろしている教室に殴り込みしに行った。
結論から言えば、グループのリーダーである瀬野がおらず意味のないものとなった。
「けっ、余計な時間を過ごしちまった。」
「おいおい、いいのか?完全に俺ら悪役みたいなになってんぞ。真斗もなんか言ってやれよ。」
「夏乃さん、かっけぇ…。」
ああ、駄目だ。今までの恨みより憧れのが勝っちまってる。
「これからどうすんの?」
「一応、果たし状は置いてきた。」
「果たし状って…、古くない?それよか、瀬野ってどんな奴なんだ?」
真斗に聞くが首を傾げられた。
「知らねぇ。瀬野は顔を一切出さない奴だ。どちらかと言うと、瀬野の直属の部下みたいな奴がいて、そいつが強ぇ。一回喧嘩したことあるが互角だった。」
「なんだ、大したことねぇんだな。その瀬野って奴は。手下に護られて自分はお山のてっぺんってわけだ。…それに瀬野なんか名前聞いたこともねぇ。」
幾ら雲隠れしてても裏社会の人間なら生徒会の危険リストに入ってる。夏乃がその名前を見たことないってことは瀬野は偽名か?
「まぁ、いい。その部下を倒せばここのトップは俺だな。」
悪役面している夏乃を横目に喧嘩三昧の日々はまた続くことを悟った。
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