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第56話
瀬野とその部下を探して1週間。
なんの手がかりもなく時間だけが過ぎた。
そして、襲撃したのにも関わらず報復して来ない瀬野の下っ端共。何か嫌な予感がしてならない…。
夏乃もそれを察してかピリピリしてる。
「瀬野と、確か西山だったか?全く学校行ってないみたいだな。」
「不良が学校毎日行ってる方がおかしいだろ。」
西山は瀬野の直属の部下。実質の瀬野一派のリーダーだ。
「にしても全く来ないのも怪しいよな。」
「まるで、嵐の前の静けさってか?でも、小雨くらいは降るらしいぜ。」
「は?」
ずらりと俺たちを囲む男たち。いきなりだな。
「小雨とは言ってくれるなぁ?一青 夏乃。」
「お前が西山か?」
「ああ、西山 善助とは俺の事だ。」
名前負けしてんな。善いと助けるで善助だろ?そんな名前の奴が大人数で囲むか、普通。
「何の用か、分かってるよなぁ?」
「この前のか、あれはお前らが先に売った喧嘩だ。恨まれる筋合いはないな。」
「それじゃあ、こっちの面子がたたねぇんだよ。」
殴りかかる西山に夏乃は軽く避ける。反撃開始だと言うかのように夏乃も拳を振り上げた。
「おいっ、多々。お前、俺より強くなってんだろ?」
「それ、言ったの真斗だから。でも、守られる気もねぇよ。」
「なら、背後任せんぞ。」
…ああ、そうか。そうだな。
「任せろ。」
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