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番外編②
番外編②
残された多々と萌斗の話
萌斗side
好きだった。
幼い頃からずっと。
大和のことが好きで好きで仕方なかった。
だけど、醜い嫉妬のせいで僕は自らの手で恋を終わらせてしまった。後悔した。一ノ瀬君に嫉妬もした。
でも、全部自分のせいなのだと思い知らされる。
もう大和の傍にいていいのは僕じゃない。
彼なのだ。
「あの、あー、二階堂?さん。大丈夫ですか?」
「君…一ノ瀬君の友達の…。僕に手なんて貸していいの?」
「まぁ、よくも掻き回してくれたなって感じはしますけど。夏乃も大して気にしてないですし、どうでもいいですよ。」
「そう。」
「今日は何しにきたんですか?」
「僕は、みんなに会いにきたんだ。もう一回謝りたいと思って。」
嘘。
大和の気持ちを僕に向けたくてきた。
でも、大和は最初っから僕が密かに考えていた想いに気づいていた。
そして、言われた。
『お前がどんなに俺に好意を向けても俺はそれに応える事はない。』
だから最後に最後に一回だけただの幼馴染として接してくれと頼んだ。大和は優しいからそれに応えてくれたんだ。
でも、最後にキスしようとした時、拒否された。一ノ瀬君が割って入る前に確実に僕を止めようとしていた。
「やっぱり無理なんだな。もう、無理なんだな。大和のあんな顔初めて見た。」
一ノ瀬君に連れ去られる前、見たこと無いくらい口角が上がってた。嬉しそうだった。
「なんで、僕…あんなことしたんだろう…。」
「過去は変えられませんよ。ただ、今後の行動で生徒会の連中とも元の関係に戻れるかもしれないですよ。」
元の関係か…。
もう高望みしない方がいいよね。
だってもう、あの2人は…。
「えっ、いや、泣かないでくださいよ。」
溢れる涙は止まらない。
胸が痛い。
胸が痛いよぉ。
「うわぁぁぁぁぁん。ひっく、うわぁぁぁぁ。」
そして、僕は失恋した。
終わりを告げた恋は苦くて苦しいものだった。
その後…
「ごめんね、取り乱して。」
「いや、別にいいですよ。…俺は夏乃の友達なんで、あんたを慰める事は出来ないです。でも、あんたがした事は許せる事じゃないけど、同情はする。だから次に恋するときはもっと周りをよく見て盲目的にならないことをおすすめします。」
「そうだね。次は頑張る。大和に、ううん。みんなに言っておいて。次戻るときは飛びっきりのイケメン連れて帰ってくるって。大和より素敵な人見つけて帰ってくるから、だから、またみんなで遊ぼうねって。」
「はい。」
新たな門出。門から出て行った萌斗は少し寂しそうで、吹っ切れた顔をしていた。
ーーー
次回
巽大和編
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21話に矛盾していた部分があったので訂正致しました。
→生徒会メンバーは幼馴染であるのに、副会長の橘翼が巽とは不良していた時に初めて会ったような表現がされてありました。
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