115 / 127

巽大和の話②

1ヶ月を経たずとも2人は息の合わせた連携で不良共を片付けていた。 そんな大和と雪の日常 たまに雪は携帯を見つめる。 無表情で見つめる画面には男が1人。男と言っても、小学生くらいの男児だ。 雪は子供好きなのか。 変態か。 1ヶ月の付き合いでも、無表情の雪の口角が少し上がっているくらいは分かる。 大和は、クールぶっている雪でも意外な一面を持っているのだと納得した。ただ、雪を興奮させる男児が一体何者なのか気になる。 何度となく携帯画面を盗み見たが、その写真の中の少年が変わることはない。 もしかすると、子供好きなのではなくその少年に好意を寄せているのかもしれない。それはそれで、些かどうかと思うが。 どうにも気になった大和はついには雪にその男児が一体誰なのか尋ねた。 「弟だ。」 疑問に思っていた答えが弟。 なんだ、弟か。 いや、弟だ。 雪はブラコンだったのだ。 それも結構やばめの。 弟の写真をしょっちゅう見る兄は間違いなくブラコンだ。雪に対して憧れの目で見ていた大和が少しだけ失望したのは言うまでもない。 「やらないぞ。」 「誰が取るかよ。」 大和が夏乃を認識した日。 結局大和に夏乃を取られることを雪はまだ知らない。

ともだちにシェアしよう!