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その後⑥

「分かった。何から突っ込めばいいのか考えさせてくれ。」 翌日。 夏乃の相談に乗った多々頭を悩ませた。 「まず、俺が生徒会に入るってなんだ。初めて聞いたぞ。」 「俺も昨日初めて知った。」 「俺が生徒会に入るのは決定事項なのか。」 「断らないだろ?」 いや、断る。 そう言おうとしたが言葉を閉じた。 多々は想像したのだ。 夏乃が生徒会長になる姿を。 まともな奴がいないとこの学校は終わる。 瞬時に想像がついた。 「…それで、なんで会長がお前に嫉妬しないと思ったんだよ。」 「俺はあいつがなんでこの俺を好きになってんのかわかんねぇんだよ。」 また、結構な純愛具合で。 俺のどこが好きなのかわかんないっ‼︎だなんて今時そんなむず痒いこと考える男がいたとは。 乙女か。 心の声が漏れていたのか多々は夏乃に殴られた。 「そんなに知りたいなら直接聞けばいいだろ。」 「あ?俺があいつにそれを聞けって?んなことするわけねぇだろ。」 「まぁ、だろうな。でも、人の気持ちなんて聞かなきゃわかんねぇもんだろ?」 はたしてこのプライドの塊のような男はそれで頷くのか。黙り込む夏乃。もう一押しというところだ。 「じゃあ、お前はなんで会長が好きなんだよ。それを伝えてんのか?お前のことだから伝えてないだろうな。自分が伝えてないのに相手から言葉を貰おうなんて自分勝手すぎるだろ。男なら自分から伝えてなんぼ。だろ?」 無言。 これは流石にダメか。 「…。わぁったよ。言えばいいんだろ、言えば‼︎俺は男だからな。男なら正々堂々言ってやる。」 夏乃の目は燃えていた。 勢いよく立ち上がると教室から出て行く。 多々は頬をぽりぽりと掻いた。 「扱いやすいな…。」

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