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第60話

副会長曰く、会長は瀬野を探っていたらしい。瀬野を見つけた会長は追いかけたが、そこにいたのは気を失っている俺だった。そして、夏乃らしき人を背負った瀬野が去っていくのが見えたのだと言う。 「なんで、そんとき追いかけなかったんだ。」 「俺は目の前でリンチにあう奴を見捨てる程腐ってねぇ。それに、俺が見たときには瀬野は車に乗り込んでいた。そっちを追うよりお前に状況を聞いた方がましだ。」 「そもそもなんで瀬野を探してたんだ。」 「それは後で話す。それより、夏乃を迎えに行くぞ。」 「迎えにって…、場所分かって…。」 「それは俺が突き止めてるよぉ。」 「なんで、会計が…。」 「これでも、ハッキングは得意なんだよね。あっ、その代わり喧嘩は出来ないから俺はここに残るよ。」 ハッキングって…。 なんでそんなん出来んだよ。 「さっさと用意しろ。行くぞ。」 って、探ってる場合じゃない。会長に遅れを取らないように体を無理矢理起こす。 しかし、書記にそれを止められた。 書記は俺の体を支えながら、じっと俺を見つめる。 「野原、俺が、連れてく。暴れるのはめっ、だからね?」 そう言うと、俺を引き起こしてくれた。そして、肩を貸してくれる。 「どうも。」 「俺、夏乃好き。野原も夏乃好き。みんな、夏乃好き。だから、連れてく。でも、暴れたら傷開く。暴れちゃ絶対めっ。」 つまりは喧嘩はすんなと。 そう言いたいのだろう。 そんなこと聞いてやるギリはない。が、子犬のような目で見られ、頬を掻いた。 「分かった。俺は喧嘩しない。その代わり、真斗を連れて行きたい。」 あいつを放っといたらまた拗ねるし。夏乃さんを俺だって助けたかったってグチグチ後で言われるのも目に見えてる。 「勝手に呼べ。数はいた方がいいだろう。」 会長の許しを得て、真斗にもメールを入れた。速攻で帰ってきた返事は勿論行くの文字で、他にも不良共を連れてくと書いていた。 そして、俺たちを乗せた車が走り出した。 多々side end

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