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第64話
「ふふっ、苛つくな…。」
「あっ。」
力を抜いている瞬間にまた唇を奪われる。
「巽大和のこと考えてそんな可愛い顔するなんて本当にムカつく。」
「やめっ。」
口内を荒らされながら、瀬野は頬を撫で、首筋を撫で、体を撫でる。徐々に下がっていく指はついに行き着いてはいけない場所へたどり着いた。
「おいっ、そこは…。」
サーッと血の気が引いていく。
そこまで行くとシャレならない。
ズボンのチャックを下される。
暴れまくるも、御構い無しに進んでいく行為。
下半身の中心部分、さわさわと優しくしかしあざとい触り方にざわりと身体が震えた。
「ここ、人に触られたことある?」
「ない‼︎」
「そっか童貞処女か。」
「ちがっ…。」
「処女だとは思ってたけど、童貞だったんだ。それは嬉しいなぁ。」
隠していた事実に触れられ体温が上がっていく。
仕方ないのだ。
中学では女になんて興味はなかったし、高校では真面目で通していたから。そんな女と関係を持つ時間なんて無かったんだ。
言い訳を頭で呟いていても、行為は進んでいく。形を撫でられ、そのまま手を突っ込まれた。
「おいっ、マジでやめろ。気持ち悪いっ。」
「そっか。じゃあ、気持ちよくなって?」
「やめっろ…。」
「大丈夫。最初は痛いかもしれないけど、だんだん気持ちよくなるはずだから。早く絶望に浸って?」
痛い?どういう…。
「待てっ、そこは汚いっ。」
モノに触っていた指が下へ下へと一番触れて欲しくない穴の元へと下がっていく。こいつ、まじで挿れるつもりなのか…。
「やだっ、やめろっ。殴られてもいいから、それだけはやめてくれ。」
「涙出てる。可愛い。もっともっと絶望して。」
「いやだ、ぶざけるな。殺すぞ。」
「その声も表情ももっと絶望したら変わるのかな?その光の篭った瞳は暗く漆黒に包まれるのかな。
堕ちて堕ちてよ、夏乃君‼︎
安心して、大丈夫。
君が堕ちても僕はずっと君を
アイシテイテアゲルカラ。」
荒らされるーー
壊されるーー
だめだーー
いやだーーー
「やめ…。」
その時、瀬野の手はピタリと止まった。
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