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第66話
背中に乗っかったまま、眼鏡の家に入る。
相変わらず無機質な家だ。
「夏乃、大丈夫ですか?」
眼鏡の家ではチャラ男が飯を作っていた。久々に生徒会全員集合。俺の横には多々と真斗がいるけど。
「こんな空気じゃ、ご飯食べても美味しくないねぇ。まず、お話ししたら?」
チャラ男の提案にみな頷く。俺は、俺だけは話なんて聞きたくないと顔を背けた。
「夏乃、聞かなきゃ始まんねぇだろ。」
「野原君、いいです。冬乃、いえ夏乃。今から私が勝手に今回の件の弁解をします。私達を恨みたいなら恨んだままでいいです。ただ、何故こうなったのか話を聞いてほしい。」
誰が聞くかっ‼︎
と、無視をしようにも眼鏡も能天気男も涙目でこちらを見てくる。
「あああああ、もう、わかった、分かったから勝手に話せよ。」
「夏乃‼︎良かった。」
ぎゅうううと抱きしめられる。邪魔だと言う前に、俺様男が俺の首根っこを掴んで無理矢理引き離した。
「早く話せ。」
床にぽいっと投げつけられて俺様男を睨みつける。それを見た眼鏡はやれやれと言ったように肩をすくめた。
「では、話しますね。…まず、夏乃、萌斗は生徒会に入れるつもりはありません。」
「あ?」
「そもそも、萌斗はあと1ヶ月でまた海外に戻ります。親の反対を押し切って戻ってきたようで、本来なら帰ってくる筈ではなかったのです。
親に3ヶ月と約束してますし、直ぐに発つ人間に生徒会の職務を任せるつもりはありません。
ただ、私達も久々に会った幼馴染を無下に扱うことも出来なかったのも事実。
職務放棄をしたつもりはありませんでしたが、貴方に負担をかけていたのは私達の責任です。すみませんでした。
ただ、言い訳にはなりますが、あの時期にちょうど理事長から生徒会に別件の仕事を押し付けられていました。
いつもより倍以上の仕事で悩んでいた時に萌斗が帰ってきて、私達は彼を頼ってしまった。彼は中学の頃に生徒会に所属していましたから、勝手がわかると思いつい…。
ただ、結果的に任せた仕事は全て夏乃がやっていましたが。萌斗が全てやっていたと私は思っていました。」
「お前ら生徒会室にいないで二階堂萌斗ばっかり一緒にいて、仕事なんて…。」
「外部の仕事でしたので…。萌斗とは確かに学園では一緒にいることは多かったですけど、久々に帰ってきた幼馴染を無視する理由なんてありませんでしたし。」
じゃあ、じゃあ、俺はただ二階堂萌斗に騙されてただけなのか?あの時の集会も…?いや、違う。確かに聞いた筈だ。
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