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第70話

久しぶりに行った学校は変わらず騒がしく鬱陶しい。 後から聞いた話、二階堂萌斗は生徒会に関わることを一切禁止されたらしい。また、1週間後には留学先に戻るとのことだ。瀬野、津野田雅治はあれから姿を現していない。 平穏な面白味のない日常がまた始まる。 「夏乃、やはり生徒会には戻ってきませんか?」 「誰が戻るか。」 しかし、度々、いやここ最近毎日生徒会の連中が俺に生徒会に戻れと促してくる。 戻るつもりはないのに。 当初は生徒会と言うことで教室内の連中が騒がしかったが、今ではいつもの日常の一つとして記録されてしまった。むしろ、生暖かい目線でこのやり取りを見られている。 「そろそろ生徒会戻ってもいいんじゃないか?」 「はっ、だれが。」 「知ってるか?お前がいつ生徒会に戻るかって賭けられてるらしい。因みに、1週間以内に戻るが1番票を集めてるみたいだ。」 「は、殺す。」 多々がいらない情報を流してくるのが鬱陶しくて仕方がない。 多々といえば、怪我を1週間もしないうちに完治させ、俺より先に学校に行って動き回っていた。 「生徒会との誤解も解けただろ?」 「ん…、それはそれ、これはこれだ。」 生徒会が何故俺を助けたのか、助けられたのか、それを後々多々に教えてもらった。   生徒会に入り込む仕事量、真面目だった一ノ瀬夏乃のサボりに怪しいと思った俺様男はまず、二階堂萌斗と話をしたらしい。 二階堂萌斗は俺様男が睨むとすぐに白状したという。 『萌斗君の居場所が、変な1年に取られてます。早く、戻ってきて下さい。そうしないと、会長もあいつに取られてしまうかもしれません。』 そんなメールが二階堂萌斗に突然送られてきたらしい。二階堂萌斗は急いで学園の状況を知り、戻ってきたそうだ。 そのメールの発信所は二階堂萌斗を慕う人間だったらしいが、調べていくうちに瀬野の存在に気づき始めた。 次に生徒会に仕事を大量に与えた理事長。理事長自体に怪しい動きもなく、全くの白だったらしいが、その部下が借金を抱えていたらしく、金で釣られて生徒会に頼むはずの仕事をギリギリまで溜めて、生徒会に流したようだ。 そして、金を与えたのは瀬野に通じるもの。 兼ねてから、裏社会の人間である瀬野が学園にいると知っていた俺様男は独自に調査し始め、津野田雅治が瀬野だと突き止めた。 しかし、なぜ瀬野が生徒会の邪魔をするのかそれを探る前に俺は連れさらわれた。 後は皆知る通りだ。 生徒会との間にあった誤解はそれで全て解けた。 だが、それは俺が生徒会に戻る理由にはならない。そもそも、俺はもう生徒会にいた頃のように健気に頑張れないし、不良だってことも生徒にバレている。 そんな俺が生徒会に入ったところで…だ。 「誰が俺を認めるんだ。こんな不良を。」 「自分で言うんだな。でも、賭けするくらいだから、みんな別になんとも思ってねーんじゃないか?」 「なんでだよ。普通嫌だろ。」 「見た目で言えば、会計だってそうだろ。暴力的で言うなら会長も。それに、不良番長の真斗を手懐けたって影で結構騒がれてるみたいだぞ。もちろん、いい意味で。」 「なんだそれ。」 不良番長ってなんだ、不良番長って。 「まっ、つまり思ってるほどみんなお前が生徒会に戻るのに反対してないってことじゃないか? みんな、お前が生徒会で努力してたの知ってんだよ。それに、今じゃ生徒会の連中があまりにも不甲斐なくて大真面目だった一ノ瀬が不良になったってことになってるし。」 「なんだそれ。」 「生徒会の奴らが流した噂かもしれないな。」 そんな事されたって今更だろ…。 戻るもなにも、どうやって戻ればいいんだ。 「あー、くそっ。」

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