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第72話

「生徒会に入れるのは原則5名まで。しかし、1年を入れる場合は6名までとなる。お前はこの校則を忘れていただけじゃないか。」 「えっ…あっ…。」 ーー今思い出したーー そんな表情を二階堂萌斗はした。顔を真っ青にして涙を溜めている。 「じゃあ、じゃあ、僕の帰る場所が無くなったわけじゃないって事?あっ、あっ、じゃあ僕がしたことって…。 本当に…ただ、君を傷つけただけ? うそ、嘘だ!!あぁぁあぁ…、ごめっ、ごめんなさい。ごめんなさい、ごめん…なさい。」 泣きじゃくる二階堂萌斗にポケットに入れっぱなしだったハンカチを渡す。なかなか受け取らない二階堂萌斗の顔面にハンカチを押し当て、涙を拭く。 「お前は悪い。ただ同時に被害者でもある。俺はお前を許せない。 でも、あいつらはお前を許す。口でなんと言おうとお前はあいつらの幼馴染だから。許されるんだよ。 だから、泣くな。お前が泣くのは狡いだろ。」 「ゔぅゔぅぅ…。ごめ、ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。」 それでも二階堂萌斗は泣き続けた。 涙の雨が止んだのはその数分後だった。泣き疲れたのか、はぁはぁと息を漏らす。静かな教室に吐息だけが響いていた。 そして、ガラガラと音を立ててドアが開いた。現れたのはチャラ男と俺様男だった。 「落ち着いたか、萌斗。」 「うん。」 「そうか。夏乃、悪かったな。にしても、お前、ハンカチなんか持ち歩いてんのか。似合わねぇな。」 「うるせぇ。」 ニヤニヤして笑う俺様男の顔がウザい。これは真面目にしてた時の名残だ。 「仲…良いんだね。大和のあんな顔久々に見た。」 「別に仲良いわけじゃ。」 「夏乃君、改めて言うよ。ごめんなさい。でも、負けないから。」 「は?」 二階堂萌斗は俺様男の側に寄る。 「大和、好きだよ。」 目の前で繰り広げられる行為は何か。一瞬思考が追いつかなかった。 ただ、ちゅっと音をたてて、唇と唇が当たっている。 二階堂萌斗は顔を真っ赤にさせて、微笑んでいる。 さすが絶世の美少年と呼ばれているだけある。あの微笑みでどのくらいの人間が彼に落とされてきたのだろうか。 俺はには出来ない顔。 出来るはずがない行為。 なんでそう簡単にキスさせているんだよ。 なんで、きょとんとしてるんだよ。 なんで俺はこんなに… イライラしてんだよ。

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