73 / 127
第73話
『僕と大和、卒業したら付き合うことにしたんだ。だから、夏乃君は大和にあんまり近寄らないでね。』
二階堂萌斗が幸せそうに頬をピンクに染めて笑う。
『あっ、大和! 好きだよ。』
笑って2人は幸せそうにキスをする。腕を組んで2人で遠くへと歩いて行ってしまう。
モヤッとする。
イライラする。
胸が苦しい。
なんだこれ、なんだこれ。
霧がかっていく。
見えなくなった2人の先に現れたのは瀬野。
俺の頬を撫で、やっぱりと言ったように微笑みかける。
『夏乃君は巽大和が好きなんだよ。』
違う、違う、違う‼︎
バンっと飛び上がる。
ドッドッドっと心臓が高鳴る。
ソワソワとする。
汗が溢れ出す。
「夢…?」
ベッドの中で布団をじっと見つめながら無意識に言葉を漏らした。
「なんだ、なんだ、なんなんだ。好き、俺が?んなわけがないだろ…。」
気づかぬうちにいや、どこかで気付いていた想いが制御出来ずに溢れ出す。そんな予感がした。
ともだちにシェアしよう!