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第73話

『僕と大和、卒業したら付き合うことにしたんだ。だから、夏乃君は大和にあんまり近寄らないでね。』 二階堂萌斗が幸せそうに頬をピンクに染めて笑う。 『あっ、大和! 好きだよ。』 笑って2人は幸せそうにキスをする。腕を組んで2人で遠くへと歩いて行ってしまう。 モヤッとする。 イライラする。 胸が苦しい。 なんだこれ、なんだこれ。 霧がかっていく。 見えなくなった2人の先に現れたのは瀬野。 俺の頬を撫で、やっぱりと言ったように微笑みかける。 『夏乃君は巽大和が好きなんだよ。』 違う、違う、違う‼︎ バンっと飛び上がる。 ドッドッドっと心臓が高鳴る。 ソワソワとする。 汗が溢れ出す。 「夢…?」 ベッドの中で布団をじっと見つめながら無意識に言葉を漏らした。 「なんだ、なんだ、なんなんだ。好き、俺が?んなわけがないだろ…。」 気づかぬうちにいや、どこかで気付いていた想いが制御出来ずに溢れ出す。そんな予感がした。

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