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第77話
翌日。
生徒会室の前に足を止めた。
初めて来た時、俺はあいつらと一緒にいれることに嬉しくて仕方がなかった。ただ、真面目にずっと働けるだろうかと心配しながらそっとドアを開けた。
二階堂萌斗に陥れられた時はムカついてイライラして仕方がなかった。足で蹴って、その苛つきのままドアを開けた。
そして今は…
嘘偽りない一ノ瀬夏乃としてここに立っている。
喜怒哀楽。
自分が持つ感情がどれに値するのか俺には分からない。ただ、兄さんが言った通りに。
誰に何と言われようと俺は俺だから。
いつものように生徒会室のドアを開けた。
「夏乃!!」
眼鏡がいや、副会長の橘が俺に近寄ってくる。
書記の帳は無言のまま俺を抱きしめ、会計の時雨は緩い笑顔を向けて俺の頭を撫でた。
そして、会長は、巽は、俺と向き合う。
「おせーぞ。」
「うるせぇ。」
「そうですよ、夏乃。あなたの仕事たくさんありますからね!」
涙目な橘は頬を膨らませて、バンバンと手元の資料を叩く。
「ほらほら、翼くん。涙ふいて〜?」
「夏乃、おか…えり。」
時雨は橘にハンカチを手渡し、帳は俺を更にギュッと抱きしめた。
「おい、雫…。」
巽の一言で、俺は解放された。その代わり帳は俺を見てへにゃあと笑った。
巽は相変わらず、ニヤリと不敵に笑っている。俺はそんな巽にビシッと指を突き出した。
「俺が戻ってきてやったんだ。感謝しろよ。それと、巽!!覚悟しとけ!!」
「呼び捨てのうえ、何を覚悟すればいいのかさっぱりわからんが、まぁお前のやる気は分かった。おいっ、お前ら仕事すんぞ。」
「はい!」
「は〜い。」
「ん…。」
「おう!!」
生徒会室。
その日久しぶりに会長、副会長、書記、会計、そして庶務。
5人が揃った。
そして、物語は佳境へと誘われる。
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