82 / 127
第82話
じゃらりと、金属が擦れる音が聞こえた。
ハッと目が覚める。
繋がれた手足。
首にも何か付けられている。
白いベッドの上で部屋のあちこちを見つめる。
窓はない。
ドアが一つだけ。
この前と同じ状況。
だが、前とは違う部屋だ。
「夏乃君、目が覚めたんだね。どお?気分は。」
「最悪に決まってんだろ。これ、外せよ。こんなん付けなくたって逃げねぇよ。」
「んー、夏乃君の眼にまだ覇気があるからなぁ。その眼から光が無くなったら外してあげるよ。」
なんだ、覇気って。ふざけやがって。
「で?お前は俺をどうしたいんだ。ただ閉じ込めるだけって訳じゃねぇんだろ。」
「そりゃあ…もちろん。この前の続きをしようか。」
瀬野が目の前に迫ってくる。
膝をベッドにつくと、そのまま唇をあててきた。うゔっと声が漏れる。
舌がぬるりと入ってきて、俺の舌を絡めとる。
ペチャペチャと音をたてるそれに涙が出てきた。
「夏乃君はキスが下手くそだね。」
「う、るせぇ。」
「大丈夫、僕が巧くリードしてあげるからさ。」
その行為がどのくらいの時間続いたのか俺には分からない。ただ、瀬野が離れたときには既に俺は息を切らしていた。
「ふふっ、可愛いね。」
「るっせぇ。」
「今日はここまでにしてあげる。時間は十分ある。ゆっくりゆっくり堕としてあげる。」
ともだちにシェアしよう!