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第82話

じゃらりと、金属が擦れる音が聞こえた。 ハッと目が覚める。 繋がれた手足。 首にも何か付けられている。 白いベッドの上で部屋のあちこちを見つめる。 窓はない。 ドアが一つだけ。 この前と同じ状況。 だが、前とは違う部屋だ。 「夏乃君、目が覚めたんだね。どお?気分は。」 「最悪に決まってんだろ。これ、外せよ。こんなん付けなくたって逃げねぇよ。」 「んー、夏乃君の眼にまだ覇気があるからなぁ。その眼から光が無くなったら外してあげるよ。」 なんだ、覇気って。ふざけやがって。 「で?お前は俺をどうしたいんだ。ただ閉じ込めるだけって訳じゃねぇんだろ。」 「そりゃあ…もちろん。この前の続きをしようか。」 瀬野が目の前に迫ってくる。 膝をベッドにつくと、そのまま唇をあててきた。うゔっと声が漏れる。 舌がぬるりと入ってきて、俺の舌を絡めとる。 ペチャペチャと音をたてるそれに涙が出てきた。 「夏乃君はキスが下手くそだね。」 「う、るせぇ。」 「大丈夫、僕が巧くリードしてあげるからさ。」 その行為がどのくらいの時間続いたのか俺には分からない。ただ、瀬野が離れたときには既に俺は息を切らしていた。 「ふふっ、可愛いね。」 「るっせぇ。」 「今日はここまでにしてあげる。時間は十分ある。ゆっくりゆっくり堕としてあげる。」

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