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第86話

涙が出る。 ヨダレが垂れ流れる。 もうぐちゃぐちゃだ。 玩具の与える刺激はすでに慣れてきている。 その代わり、もっと、もっとと、強い刺激を欲したくなった。 前を扱って欲しいと体を捩る。 手足を縛る錠が邪魔だ。 これでは全くキモチヨクナイ。 「あっ、ぁぁぁぁぁ…。」 思いっきり頭を横にふる。 何を考えている。 そんな快楽に負けるようなことを考えるなんて、俺は…おかしい。いや、おかしくされた。 情けない、情けない…。 のに…、俺は快楽を求めている。 「夏乃くん?大丈夫?」 いつのまにか瀬野がすぐ近くにいた。ベッドに近寄り、俺を見ている。特に何もするでもなくこちらを見ている。 「夏乃くん、ローターそろそろとってあげようか。」 瀬野の言葉に勢いよく頷く。 早く早くとってくれ。 そう身体が言っている。 微妙な刺激なんていらいない。 俺が欲しいのは強い、強い刺激だ。 あぁぁぁ、ちがう。 ちがう…。 「夏乃くん、ほらっ、とってあげるね。」 コードを引っ張りぷちゅんと音を立てて中のローターは勢いよく飛び出した。 尻の違和感がなくなった。それに酷くホッとするとともに何か足りないと身体が訴える。 もっと、もっと強い刺激を…。 「夏乃くん。気持ちいいことする?」 よく分からない。 何を言っているのか分からない。 だから俺は何も考えないで、素直に頷いた。 くちゅくちゅと音を立てて、俺の前のモノを擦る。 後ろの穴には何もない。 物足りない。 でも気持ちいい。 「う…しろ…。」 「夏乃くんは淫乱になったんだね。そんな積極的になってしまって、僕は嬉しいよ。ただ、僕の挿れるには少し早過ぎるんだよ。夏乃くんを出来る限り傷つけたくない。だから、今日は指で我慢してね。」 「あぁぁぁうぅ…。」 穴にズッポリ入った指は暴れ回る。 前も一緒に擦られて、快楽はピークを迎えた。 「あ、ぁぁぁぁあああぁぁあぁ…。」 息が切れる。 ベッドのシーツに捕まって、涙を止めた。

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