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第88話
瀬野side
きれいに、きれいに堕ちた。
もう光なんて存在しないきれいな夏乃くんを愛おしく撫でる。
汚い人間とは違う夏乃くん。
初めは小さな出来事だった。
クソみたいな奴らに絡まれて、どう殺してやろうかと思っていたとき、夏乃くんは現れた。
一目見て、ああなんてきれいな存在なんだと思った。
それなのに、それなのに、夏乃くんの周りには邪魔な奴らが山ほどいた。
だから決めた。
夏乃くんをあいつらから突き放す。
殺したって別に構わない。
むしろ、この手でぐちゃぐちゃにしてやりたいほどに憎い。
「夏乃くん。」
僕に体重を預けた夏乃くんはお人形みたい。
光なんて通さない、その瞳は僕が望んだとおり。
生徒会から裏切られた時の夏乃くんの姿も愛らしかった。でも、それ以上に今は愛おしい。
ちゅっと口付けしても眉一つ動かない。
ただいつまでもお人形にさせたいわけではない。後々には身体から心まで全て僕の手の中に入れなければ意味がない。
僕がいなくなっては生きていけないくらいにもっともっと深くへ。
瀬野side end
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