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第92話

多々side 夏乃が拐われた3日後ーー 学校に行き、今日も空いている席を見つめた。 「なぁ、夏乃がこんなに学校こねぇのおかしくないか?」 近くにいる真斗に声をかけると頷かれた。 3日前、夏乃から暫く学校に行かないというメールが来た。 夏乃の兄の吹雪さんが事故に遭ったのがまだショックなのかもしれない。 そう思っていた。 しかし、流石にこれだけ学校に来ないと心配になる。   それに加え、夏乃は生徒会復帰してからというものあまりサボりや喧嘩はしていない。そりゃあまぁ、あの真面目してた頃よりはしてるけど。 たった3日。それでも、少しおかしいと感じる。 「あいつの兄貴に連絡したんじゃねぇのか?」 「ああ、したよ。でも、俺たちと一緒。メールが来て暫く家に帰らないって書いてあったんだってよ。やっぱし生徒会に行くのが1番か…。生徒会と何かあったのかもしれねぇし。なんか嫌な予感がすんだよな。」 胸騒ぎというか、なんというか。 放課後になって俺と真斗は生徒会室へと向かった。ノックをして、ドアを開ける。 すると、勢いよくこちらを振り向く副会長がいた。その瞳に俺らが写るとどこかガッカリとした、落胆の眼差しを向けられた。 「あなた方は…野原多々と瀬戸真斗ですか。何かご用ですか?」 「夏乃が生徒会に来ていないか確かめに来たんですけど。」 「夏乃…、あなた方は夏乃の友人でしたね。やはり授業も受けていないのですね。」 やはり夏乃は生徒会にも来ていないのか。 「夏乃が学校に来ていない理由、何か知りませんか。」 「それは…。」 言い淀む副会長に、何かあったのは明白だった。 また、こいつらが何かをしでかしたのか、はたまた夏乃が勝手に拗ねたのか。 でも、この調子だとそれも違うのか…。 「大和…刺されたから。」 「あ?」 後ろを振り返ると、先程にはいなかった、書記と会計がいた。 会計はあちゃーっと言った感じに頭を押さえている。 「大和って会長だよな…。刺されたってどういう。」 「雫、部外者にその話しをするのは…。」 「部外者じゃない。夏乃の、友達。」 「それでも…。」 「夏乃、探してる。俺たちも。だから、大和のこと教えてあげなきゃだめ、でしょ?それに…、夏乃の友達。だから信用できる。」 書記の言葉にため息を吐く副会長。下がっていた眼鏡を指で押し上げ、こちらを見つめた。

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