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第93話
「他言無用で…お願いしますね。3日前のことです。巽が家の仕事で学園の外に出ている際に何者かに刺されたのです。犯人は捕まっており、理由も巽の家に恨みがあったと言っています。」
「夏乃はそれを知ってるんですね?」
「ええ。巽が刺されたことでしたら。私が連絡を受け取った時に夏乃はいましたから。」
「それじゃあ、夏乃は会長が刺されたことにショックをうけたから学校に来てないって?」
「はい…、初めはそう考えていました。しかし、さすがに3日も学校に来ないのはおかしいかと思い何かあったのではと…。」
まぁ、そう考えてもおかしくないか。
夏乃、会長のこと好きだし。ある種、もろばれだったし。表情とか態度とかで。
しかし、吹雪さんと会長。
2人揃って同じ時期に大怪我を遭うってなりゃ、少し臭うな。
「大和のお見舞い、行く?」
「見舞い?もう目が覚めてるんすか?というか、見舞いなんて行ける状態にあるんですか?」
「ほんとは、だめ。でも、特別。それに、夏乃が最後に会った人、大和。大和、その日目は、覚めてた。もしかしたら、大和、何か知ってるかも…。」
確かに、夏乃の居場所を知っているなら聞き出したい。無事なら無事でいい。まぁ、少しは怒鳴るかもしれねぇけど。助けが必要なら助けたい。
「いいのですか?雫。」
「内緒…ならたぶん大丈夫。」
「お願いします。行かせてください。」
書記は俺の瞳をジッと見つめ、うんと頷いた。
「真斗は行くか?」
ずっと無言でいた真斗に声をかける。何かを考え込む仕草をした真斗は、首を横に振った。
「何か、考えがあるのか。」
「ああ。何か分かったら連絡しろ。」
真斗が何を考えているのか知らない。だが、確実にその眼は何かを決心した眼だった。任せて大丈夫だろう。
「それでは、行きましょうか。」
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