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第94話

俺、副会長、書記、会計の4人は会長が入院する病院へと足を運んだ。 ドアの前。 話の内容は聞こえないが、中で言い争っている声が聞こえてきた。 「誰かいるのでしょうか?おかしいですね。そのような話は聞いていませんが…。」 「取り敢えず、入ってみれば?会長から別に来るなって言われてないでしょ〜?」 「そう、ですね。」 副会長がドアを開ける。 ドアの先。 そこにいたのは夏乃の兄、吹雪さんだった。 「えっ、なんでここにいるんですか。」 不思議に思い、声にするも吹雪さんは会長を睨み付けるのみ。この2人の繋りが見えず、戸惑う。 「どういうつもりだ。」 「俺は別にあんた以外に誰も来ないとは言ってない。それに、あんた1人じゃ夏乃には辿り着けないぞ。」 「えっ…吹雪さんも夏乃を探してるんですか。そんな話、メールじゃ…。」 溜息をつく吹雪さんは渋々というふうに口を開いた。 「探し始めたのは、メールを送り返した後だ。夏乃のメールに不自然なところはなかった。だが、何か胸騒ぎがした。確信がない時点で告げると余計な不安を生むだろう。それを避けるために黙っていた。」 ああ、本当にこの兄弟は…。 人に頼ろうとしないくせに、他人の心配はする。 ああ、呆れてしまうくらいに夏乃も吹雪さんも似ている。 「俺だって夏乃を心配しているんです。既に不安が過ぎっているんです。だから、もう変に1人で行動しないでください。吹雪さんがこんなんだから、夏乃は人を頼らないんですよ。」 「そ、そうか…。」 夏乃の名前を出せば言うことを聞く。相変わらずのブラコンで良かった。 「でも、なんで吹雪さんは会長に会いにきたんですか?」 「監視カメラで夏乃を追っていたら、最後に接触したのがこいつだと判明した。情報が掴めるのではと思ったんだが…。」 どうやらまだ話しは聞けていないらしい。 「どうやって…ここ…入った?」 確かに書記の言う通りだ。今の会長の状況的に吹雪さんが会長の病室を訪れるのは難しいはずだ。 書記は会長の友人で家的にもまぁ、なんとかなるだろうけど。 「一ノ瀬を舐めるなよ。それに大和とは古い仲だ。お前たちのようにお見舞いと称して訪れることくらいできる。」 「古い仲?大和とは社交界で?」 「いや…。」 会長と吹雪さんの仲に、皆頭の上にはてなマークを立たせる。いつも会長と共にいる副会長でさえ、吹雪さんと会長の繋がりを分かってはいないようだ。 「翼、お前は雪さんに会ったことあんだろ。」 「一ノ瀬とは社交界であった事はありますが、深くお話ししたことは…。ん?雪…?」

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