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第95話
「まさかあの雪さん!?うわぁぁ、初めて会った…。あの、翼くんの不良時代に大和くんと一緒に翼くんをぎったんぎったんにした!!それで伝説にまでなったあの雪さん!?」
なぜか、一番驚いて声をあげたのは副会長ではなく、会計。そして吹雪さん、そんなことしてたのか…。
確かにやんちゃしてる時期があったのは知ってたけどまさかそんなんになってるとは…。
「私はぎったんぎったんになどなっていません。それに、彼が雪さんには思えません。何せ、格好が全く…。」
「お前だって不良をやめた時に比べて180°変わってんだろ。それによく考えろ。この人は夏乃の兄貴だぞ。」
あー、確かに。全員の心の声が一致した。
「はぁ…。確かに俺は夏乃の兄で一時期は悪さをしていた。だが、今は夏乃の良き兄として通っている。少しでも夏乃に話してみろ。一ノ瀬より格上の家であろうと、この世から抹殺して排除する。」
ドスの効いた声。
本気だよ。この人。
室内が凍りついたので仕方なく、俺が口を開く。俺はこの横暴な兄弟の取り扱いには慣れているから。
「吹雪さん、誰も夏乃には言いませんよ。それより、その夏乃を探すことが大事でしょ?俺らも夏乃の話を聞きにここに来たんです。吹雪さんもまだ話は聞いていないんじゃないんですか?」
「…ああ。そうだな。大和、知っていることを全て話せ。」
「俺が知っている事はたかが知れている。話しもまとめてぇ。まずは、お前らの話を聞かせろ。」
では、まず…と、副会長が話をし始めた。
副会長が夏乃のいなくなった前日の話を大まかに話した。
俺もそれに続けるように、夏乃のいそうな場所を探したこと、知り合い全てに聞いて回ったが何も収穫はなかったことを話した。
最後に吹雪さんが監視カメラで夏乃を追ったが、途中夏乃が何者かの車に乗って見失ったことを改めて話した。
「夏乃は自分から車に乗ったんですか?」
「ただの一般車なら心配はしない。だが、ナンバーを特定しようとしたところ、偽のナンバーだと発覚した。街の不良どもの可能性も考えられるが、どうにも怪しい。」
まさか、夏乃が自分から車に乗ったとは。これはまた話が変わってくるんじゃないか…。
「全て話しただろう。大和、話せ。」
本題。
会長は数秒の間を開けて、言葉を紡いだ。
「おそらく夏乃は瀬野の元にいるだろうな。」
「瀬野っ?」
「夏乃は自分から車に乗ったんですよね。それなら瀬野と考えるのおかしいのでは?」
瀬野とわかって夏乃が自分から車に乗るはずがない。
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