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第100話
当日ーー
発砲音が遠くで鳴り響いた。
「中に入るぞ。」
吹雪さんの一言で、俺、真斗、副会長、そして瀬野の組員の1人が高い塀を乗り越えて屋敷に忍び込んだ。
離れは母屋から大分距離があるらしい。組員総手で瀬戸組を対峙しているらしく、あたりに人は見当たらない。
「何があるか分かりません。別行動は控えましょう。」
離れは白い建物。
和を重んじる母屋とは違い、その雰囲気は洋。
それも、かなりの大きさだ。
離れとは言い難い建物に圧倒される。ただ、皆思うのはただ一つ。
夏乃がここにいますように。
「開けるぞ。」
俺らはその言葉に頷き、吹雪さんはそれを確認してから扉を開けた。
「これは…想定外、ですね。」
広い玄関を覆いつくすくらいの人がそこにはいた。
「いや、まだこれは最悪じゃねぇ。」
相手はどうにも瀬野組の奴らではなさそうだ。まぁつまり飛び道具はもっていない。
その点、最悪ではないということ。
「人の数では圧倒的に負けてんだろ。」
「別行動はさける方向でしたが、仕方がありません。雪さん、それに野原多々。先に行きなさい。」
「えっ、なんで。」
「流石に1人で抑えられる気はしませんが、3人ならなんとかなるでしょう。瀬戸真斗のいる側に組員1人つく約束です。となると、これが一番賢い分け方でしょう。」
「いや、そうじゃなくて…。この人数を3人って…。」
「文句言ってねぇで早く行け。俺は別に構わねぇよ。」
目の前にいる人数に圧倒され、3人を置いていくのに躊躇う。
「多々、行くぞ。大丈夫だと言っているんだ。信じて任せよう。ここでもたもたしていたら夏乃が連れ出される可能性だってある。」
「はい。…よろしくお願いします。」
「こちらも終わり次第向かいます。」
頷いて真っ直ぐ階段の方へ向かう。
もちろんそう簡単には行かせて貰えなく、雪さんが目の前の敵をはっ倒しながら俺は後ろでついて回った。
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