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第101話
家中どこを探しても夏乃はいない。
やはり母屋の方だったのか…。
諦めの溜息が出たとき雪さんが俺の名前を呼んだ。
「吹雪さん、どうしたんですか。」
「母屋の方に夏乃がいる可能性はもちろんある。だが、離れのこの建物のどこかにいる可能性もまだある。」
「俺たちがまだ探せていないところがあるってことですか?でも、全部部屋見ましたよね。」
1階から3階まですべての部屋を確認した。一つ一つ丁寧に確認したが夏乃の姿は見つからなかった。見落としたはずがない。
「地下が存在する可能性がある。そもそもこんな施錠の甘い場所に監禁するとは考え難い。」
確かに、窓は広く陽が通りやすい部屋。
どこの部屋も強い衝撃があればすぐに割れそうな窓がある。鉄格子も勿論ついていない。窓から逃げようと思えばいつでも逃げられるだろう。
「地下なら薄暗く閉じ込めるには最適だろう。」
「でも、地下なんてありました?」
「おそらく一階のどこかに地下に繋がる階段はあるだろう。探すぞ。」
「はいっ。」
一階に降りて地下に繋がっていそうな場所を探す。
書斎を調べているときだった。吹雪さんはペラっとカーペットをめくった。
「あったぞ。」
隠し通路。
そう例えられるくらいに密やかにそれはあった。吹雪さんと目線を合わせてコクリと頷く。
階段を降っていく。
意外にも広い空間。
何部屋か存在するようだ。
夏乃はたぶんここにいる。
確信したその時。
「まさかここまで来るとはな。瀬野さんの言う通りだったな。
立ちはだかったのは西山善助。
瀬野の部下…。
「姿が見えないと思っていたが、こんなところで待ち伏せしていたんだな。」
「もちろん、俺1人じゃないぜ。」
ずらりと並んだ不良共。
これは…。
「手分けして潰すぞ。」
さっき玄関にいた不良共と同じくらいいるんじゃないのか。
色とりどりの頭をした不良共をそれでもなぎ倒していく。
俺、喧嘩そこまで好きじゃないんだけど。
でも、吹雪さんをどうにか先に進めてやらないと。
そんな事を考えていた俺は吹雪さんを少し舐めていたのかもしれない。
あっという間に何十いた不良を片付け、残りは西山だけになっていた。
…化け物かよ。
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