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9月 part 3-2

「抵抗する気力がなくなるまで、ちょっと講義をしてやるよ。 いくら人通りが多いとはいえ、ここは日本有数の歓楽街。バーなんて、掃いて捨てるほどある。そんな中で、うちはいつも満席状態だ。 何故か分かるか?」 俺は無言で、桐谷を睨みつける。 そんな俺を見下ろして、桐谷は喉の奥でクッ、と笑う。 「サービスがいいんだよ。 3万円のサービス料で、女性のカクテルに媚薬を入れてやるんだ。 ま、今日おまえに飲ませたカクテルほど、多く入れることは滅多にないがな。ちょっと飲み過ぎたかな、くらいの、ふわふわした酩酊状態になるよう調整するが。それでも、お持ち帰りできる可能性がぐっと上がるぜ。 うちは、リピート客が多い。特に男性の、な。 なんせ、うちに連れて来れば、ヤれる確率が跳ね上がるんだから。毎日、違うオンナ連れてくる奴もいるぜ。 しかも、ここは歌舞伎町 二丁目。ラブホテルの多い場所だ。立地も最高だろ。 みんな、すぐにでもラブホに連れ込みてえ。だが、そんなことをしたら、あからさまにヤリ目的だってバレる。だからバーに来て、雰囲気作るんだろ。 バーなんて、セックスの前戯に過ぎない。 カクテルなんて、女の愛液の前菜に過ぎない」 「てめえ…」 桐谷を睨みながらも、俺は、身体の力が少しずつ抜けているのを感じていた。 やばい、時間が経つにつれ、だんだんと身体の奥が熱を持ってきている。今にも欲の解放を主張してきそうだ。早く、早くなんとかしないと。

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