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9月 part 3-3

桐谷は片方だけ口角の上がった笑顔のまま、俺に囁く。 「なあ、『俺を犯してください』ってお願いしてみろよ。そのもどかしさから解放してやる。おまえが体験したことのないような、キモチイイこともしてやるからさ。そろそろ降参しろよ、拓叶」 「…気安く、俺の、名前を、呼んで、んじゃ、ねえよ…」 俺の息が乱れているのを好機ととったか、ふいに、俺のズボンのホックが外され、ジッパーが下げられる。そして、桐谷の右手がズボンの中に滑り込む。 「う……っ」 ボクサーパンツの上から揉みこまれる刺激に、思わず腰が揺れる。 …身体が熱い。もどかしい。そんな刺激じゃ全然足りない。その刺激の先を想像して、身体が期待してしまっている。 もう駄目だ。 身体が訴える。直接触って、優しく握りこんで、根元から竿の方まで何度もしごいて、そして… そして、この甘い監獄から解放してほしい、と。 頭の中が真っ白になる。理性が吹き飛ぶ。自分の中の性欲が叫ぶ声に、もう逆らえない。 ぎゅっと目を閉じて、俺は、絞り出すように声を発する。 「おれ、を、犯して……」

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