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1月 part2-6

行く場所もなく、たどり着いたのは、駅前のパチンコ店。 ほおづえをついて、右手でハンドルを回す。転がり落ちていくパチンコ球。 目が痛くなるほど、激しく点滅するアニメーションの演出。大音量で流れる放送。ジャラジャラと球が鳴る音。たくさんのパチンコ台が好き勝手に音を発し、奏でられる不協和音。 何もかもが不快なのに、止めることができない。不愉快さに苛立っている間は、考えることをやめられるから。 財布の中からお札が消え、パチンコ店を出ざるを得なくなった。 もう、あたりは真っ暗だ。バーの始業時刻は、とっくに過ぎている。無断欠勤してしまった。…俺、クビかな。ま、どうでもいいけど。 スウェットの上下だけの服装では、冷たい風に勝てない。身体が冷えきっている。けど、このまま、頭の中まで凍ってしまえばいいと思った。 他人行儀な街の中では、お金がないと、居場所すら確保できない。 仕方なく、自宅のマンションまで戻ることにした。ポケットに両手を突っこみ、ごつごつしたアスファルトの道路を見ながら歩く。 マンションのエレベーターから降り、自分の部屋の鍵を、ポケットから取り出そうとした、その瞬間。 「月城!」 聞き覚えのある怒鳴り声に、反射的に背筋が伸びる。バー・アンベリールに入店して四年間。接客の仕方が悪かった時、気の抜けた仕事をした時、カクテルの作り方を指導される時…この声で、何度も怒られてきた。 この声、間違いない。でも、どうして… 「オーナー…どうしてここに…?」

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