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スタンダードカクテル審査
まずは、スタンダードカクテルの審査だ。
緊張感の漂う店内に、オーナーの声が響く。
「スタンダードカクテルの審査を始める。
お題は…〈サイドカー〉」
…ッ、なるほど、そう来たか!
〈サイドカー〉とは、ブランデーベースの定番のカクテルだ。
1933年、パリのハリーズ・バーの経営者、ハリー・マッケルホーンによって考案された。常連客であった将校が、いつもサイドカーに乗って店に通っていたことから、この名前がついたといわれている。
シェイクスタイルの基本形。
必要なのは、ブランデー、ホワイトキュラソー、レモンジュース。2:1:1という基本とされる分量で、この分量をサイドカースタイルと呼ぶこともあるほどだ。
この基本の分量どおりに作るのか、オリジナルの分量で作るのか。ブランデーやホワイトキュラソーは何を使うのか。そして、どのようにシェイクし、仕上げるのか。
バーテンダーの力量が分かるカクテルのひとつであり、作り手の個性が出やすいカクテルでもある。
不公平にならないよう、全てのバーテンダーが、一斉にスタンダードカクテルを作る。
カウンターだけでは場所が足りず、パイプ机も出されてはいるが、用意された材料や条件は、みんな同じだ。
ずらっと並んだ、11人のバーテンダーたち。
いま、戦いの火蓋は切られた!
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