20 / 66

第6話-4

そうだ。俺は大輝に支えられてきた。今度は俺が、大輝を支えるんだ。祝福してあげるんだ。俺の気持ちなんかで、大輝の幸せの邪魔をしちゃいけない。 「大輝、おめでとう」 まっすぐ大輝の目を見て言う。大輝は目を大きく見開いた。 「悠斗、知ってたんだ。バスケ部の誰かに聞いたの?」 「いや。でも、この前…偶然見かけて」 つーか、バスケ部公認カップルなのか… …俺の心、まだ折れるな! 大輝は、照れ臭そうに笑って言う。 「そっか。いや、最初は俺でいいのかな、って思ったんだ。こういうの、初めてだしさ。でも、俺がいいんだって言ってくれて。正直、すごく嬉しくて」 …くっそ、その感じだと、告白したのは一ノ瀬の方からか。なんだこの先を越された感。悔しい。 …覚悟はしてたけど、大輝の口から一ノ瀬への想いを聞くのは、結構ダメージでかいな… 「…そっか。良かったな。そうだ、なんかお祝いしてやるよ。なんかほしいもん、ない?…あんま高いものは無理だけど。それか、何か俺にしてほしいこと、とか?」 メシおごるとか、シルバーアクセサリーとか、デート用の服とか。 あとは…一ノ瀬へのプレゼント選びを手伝うとか、デートコースの下見とか?…お泊りデートの口裏合わせは勘弁してほしいけど。 「じゃあさ、お願いがあるんだけど、悠斗……」 俺の好きな、目尻に皺を寄せた優しい笑顔。 一ノ瀬も、この笑顔を好きになったんだろうか。

ともだちにシェアしよう!